1人暮らしで身寄りのないいとこから、身元保証人と死後の自宅処分を頼まれました。わずかでも財産が残れば遠慮せずにもらってほしいと言われていますが、曖昧な口約束でよいのでしょうか。(70代、女性)

いとこにとってあなたは法定相続人ではありません。いとこに相続人がいない場合は、あなたが特別縁故者として認められた場合に限って財産を受け取ることができます。家庭裁判所に特別な縁故があったと認められるには、いとこを献身的に療養看護し、信頼を得て精神的なよりどころであったと客観的に判断される必要があります。

特別縁故者として財産を受け取るには、通常1年以上の期間を要して複雑な手続きを踏みます。

まず、利害関係者または検察官が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てます。相続財産管理人は、債権者に債務を支払ったり受遺者に譲ったりして相続財産を管理・清算します。

相続人を捜索して不在が確定した場合は、3カ月以内に相続財産を分けてもらうように特別縁故者が家庭裁判所に申し立てます。家庭裁判所から特別縁故者と認められたとしても、財産をどの程度受け取ることができるか分かりません。特別縁故者に財産分与した後に残った財産のすべてを国庫に引き継いで手続きが完了します。

そこで、口約束ではなく、相続財産の全部を包括遺贈する方法で遺言を作成した方が安心であるといとこに理解してもらいましょう。相続財産管理人を選任しなくても、遺言にしたがってスムーズな手続きにより財産を受け取れるからです。相続財産管理人に弁護士や司法書士等の専門職がなると毎月報酬を支払うため費用がかさみます。したがって、相続財産全部の包括受遺者をあなたにする遺言が便利です。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>