56歳会社員で独身です。会社組織のしがらみや仕事内容の面で精神的、体力的にきついので早期退職を希望しています。老後のお金が心配ですが、いくらの貯金があれば早期退職が可能ですか。(50代、女性)

可能ならば少し早期に退職できないかと模索するケースは意外に多いようで、時々相談を受けます。貯金額で老後生活費用が賄えるかを判断するためには、退職時から100歳までの支出総額を算出する必要があります。

支出項目としては、大まかに住居費と基本生活費、予備費に分けて考えましょう。住居費は、賃貸住まいの場合は家賃の居住期間分の合計額、購入済みの場合でローンの残りがあれば、その残債額と管理・修繕積立費や固定資産税の居住期間分の合計額です。基本生活費とは、日常生活を継続するために必須の費用のことで、現在の支出月額から住居費を控除した額を用いて100歳までの合計額を計算しますが、退職後に増減額となる項目や保険料のように途中で終了となる費用は調整します。

予備費として、趣味や余暇の費用の必要期間分と別に毎年50万円程度見込んでおきましょう。そして、三つの支出項目の合計額に、念のために1000万円程度を加えて支出総額とします。

次に、公的年金の受給見込み額の85%程度を手取り額として65歳から100歳までの合計額と、今後受給予定の退職金や保険の満期金などを合算して収入総額とします。支出総額と収入総額の差額以上の貯蓄額があることが早期退職の可否判断の最低限ラインと捉えましょう。

また、年金繰り下げや退職金など手元資金の運用、軽度の就業収入などを加えると、老後資金にゆとりができます。生活の窓口では、リタイアメント計画や資産運用の相談を承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>