朝から気温が上がる中、日傘を差したり、うちわであおいだりしながら通勤する人たち=東京都千代田区で2022年6月30日、宮間俊樹撮影

 連日の猛暑で熱中症に注意が必要だ。今年は梅雨明けが全国各地で平年よりも20日間前後早かったため、暑い日が長く続くことが予想される。加齢で体の機能などが衰えているシニアは、熱中症を発症しやすいとされ、デイサービスの職員らが訪れて初めて発症が確認される1人暮らしのケースもあり、「熱中症弱者」と言われている。

 熱中症は、高温多湿の環境で発汗などによる体温調節がうまくできず発症する。めまいや嘔吐(おうと)、発熱、倦怠(けんたい)感、意識障害などの症状が表れ、死亡するケースもある。

 厚生労働省などの2022年7月版資料によると、高齢者は体内水分量が50%で、小児75%、成人60%に比べると少なく、体内の老廃物を排出する際にたくさんの尿が必要になるため、水分が不足しがちになる。さらに、加齢で暑さや喉の渇きに対する感覚が鈍くなり、体の調節機能の低下から体に熱がたまりやすく、若者よりも循環器系への負担が大きくなるという。

 また、直近の熱中症による緊急搬送は、高齢者の割合が半数以上を占めている。消防庁がまとめた今年6月27日~7月3日の全国の搬送人員は速報値で計1万4353人。うち65歳以上の高齢者は8179人で57%と高い比率となった。熱中症が原因と見られる高齢者の死亡も埼玉県や三重県などで発生している。

 厚労省などは高齢者のための熱中症対策として、室内にいる時や夜間でも発症することから、すだれ、カーテンで直射日光を遮る▽扇風機、換気扇を併用しながらエアコンを効果的に使用▽換気して屋外の涼しい空気を入れる▽1時間ごとにこまめにコップ1杯の水分を取り、1日あたり1.2リットルを目安に補給▽マスク着用時は激しい運動を避ける――などを呼びかけている。

 夏本番を間近に控え、今後も気温上昇が見込まれる。発症リスクが高いシニアは、適切な予防対策で乗り切ることが重要になる。【関根浩一】