終身保険を利用して子や孫に生前贈与すれば相続税の負担が軽減できると聞き、活用したいと思っています。将来の相続に備えて準備をしておきたいので、方法や注意点など教えてください。(70代、男性)

目的を生前贈与に絞って、終身保険を活用する二つの方法を解説します。一つ目は、契約者と死亡保険金受取人を子(孫)、被保険者をあなたとして保険に加入する方法です。子(孫)に贈与する保険料を年間110万円以内に設定すれば贈与税は課されません。子(孫)が受け取る死亡保険金は、相続税ではなく、一時所得として所得税の対象となり、税制上有利です。

ただし、注意すべき大事なことがあります。子(孫)が保険料を支払っている客観的な証拠を残すために、保険料相当額をあなたから子(孫)に銀行経由で送金し、贈与契約書を作成する必要があります。

二つ目は生前贈与に特化した生存給付金付き保険商品を利用する方法。契約者と被保険者をあなた、死亡保険金受取人を子にして、生存給付金受取人を子(孫)に指定します。あなたが存命なら保険会社から生存給付金が直接支払われ、支払い通知があなたと生存給付金受取人に郵送されるため、贈与契約書は不要です。年間生存給付金を110万円以内に設定すれば贈与税は課されず、一つ目の方法より手間が少ないです。

さらに、子を死亡保険金受取人に、相続や遺贈で財産を取得しない孫を生存給付金受取人に指定すれば、通常相続財産に加算される死亡以前3年間分の生存給付金は対象外となります。生前贈与については、昨今話題のように相続財産の加算対象を死亡以前3年間より遡及(そきゅう)する税制改正が検討されていますが、この方法だと影響を受けないため安心です。生活の窓口では、生前贈与に関するご相談も承っております。(生活の窓口)