シニアの毎日を、愉しく豊かに。

今日の一句

2023年10月

1日(日)

売られゆく虫籠の虫なきながら

マチ

2日(月)

吾子の名残る鉛筆秋の夜

ゆっここ

3日(火)

老いの身に残る炎や曼珠沙華

季與子

4日(水)

和尚より二粒賜るザクロの実

木久麻呂

5日(木)

けふ生まるものに白露結びけり

福井桔梗

6日(金)

嗤われてさうな気がする石榴かな

7日(土)

更地には葡萄酒醸す香の記憶

Keiko

8日(日)

三陸や秋刀魚痩せても戻り来ぬ

だらのん

9日(月)

放牧の馬駆け抜ける花野かな

ゆっここ

10日(火)

秋高し海の風来るレストラン

里すみか

11日(水)

月見酒桐の小箱の猪口二つ

静寂

12日(木)

万歳のまま担がれし案山子かな

うえきむしを

13日(金)

爺ちゃんの後ろ姿に似た案山子

14日(土)

群れなして明日去る兆し秋燕

桜月

15日(日)

秋の潮小石鳴らして引にけり

マチ

16日(月)

秋風を蹴飛ばし帰る小学生

マチ

17日(火)

ズボン丈五センチ詰める老ひの秋

季與子

18日(水)

旅立ちの今日の佳き日よ秋燕

ゆっここ

19日(木)

マスターの手描きの黒板初秋刀魚

味噌っ子

20日(金)

海までの鉄路ひとつや秋桜

まめばと

21日(土)

旅立ちの荷の何もなき秋燕

チョコばあば

22日(日)

集牧の馬嘶いて秋高し

味噌田楽

23日(月)

鈴濡らし猫帰りくる秋の雨

京はこべ

24日(火)

露寒や母を支ふる手に痛み

紅珊瑚

25日(水)

林檎剝くさりげなく聞く志望校

天風

26日(木)

真つ新の湯船に浸かる秋の宵

Keiko

27日(金)

青空に湯気のぼらせて芋煮会

味噌田楽

28日(土)

秋深し望郷募る国訛り

静寂

29日(日)

刃を入るることの戸惑ひ青林檎

30日(月)

君いつも月詠むように歌いけり

こころん

31日(火)

うそ寒や割られて尖るチョコレート

円堂実花

2023年11月

1日(水)

尾瀬沼の果てて無辺の草紅葉

伊豆六郎

2日(木)

稲架掛けは昔話しになりにけり

浦和太郎

3日(金)

露の玉ほろりこの世に我ひとり

ゆっここ

4日(土)

秋澄むや青年棋士の駒の音

5日(日)

鉛筆の音の途絶えし夜なべの灯

ふゆばれにかける

6日(月)

残菊を一輪飾り祖父偲ぶ

Keiko

7日(火)

秋の雲胡坐の父の膝の中

紅珊瑚

8日(水)

紅葉見る高原列車の最後尾

静寂

9日(木)

残菊の伏すや強風避けながら

白地

10日(金)

霜降の朝の茶柱きりり立つ

11日(土)

キャスケット深々かぶる秋思かな

まめばと

12日(日)

残菊や毀れ記憶のなれの果て

季與子

13日(月)

長き夜や声を聞きたくなる手紙

14日(火)

終電に駆け込むゾンビ十月尽

冬すみれ

15日(水)

柿落ちて今年二人目友が逝く

浦和太郎

16日(木)

落人の谷にひときわ櫨紅葉

季與子

17日(金)

一村の沈みしダム湖櫨紅葉

白地

18日(土)

不器用な母のおでんは三品だけ

静寂

19日(日)

朝寒や肩凝りお化けやって来る

Keiko

20日(月)

秋の雨ずっとレノンの喫茶店

冬すみれ

21日(火)

母の忌の過ぎて摘みたる野紺菊

ゆっここ

22日(水)

湖畔へと紅葉を急かす十和田かな

福井桔梗

23日(木)

オルガンの低き賛美歌蔦紅葉

桜月

24日(金)

風吹けば風の意のまま秋桜

味噌田楽

25日(土)

ばったんこ苔の匂ひの水こぼす

マチ

26日(日)

身に入むや安き刑務所木工展

伊豆六郎

27日(月)

返事するばかりの母と日向ぼこ

伊豆六郎

28日(火)

放水に冬日さしけり白川郷

紅珊瑚

29日(水)

息災のほかは望まず日向ぼこ

30日(木)

セーターの継ぎ目に小さき祈りあり

白よだか

2023年12月

1日(金)

牡牛座を見つけさらばと言うてみた

浦和太郎

2日(土)

ベランダは宇宙の続き冬銀河

味噌田楽

3日(日)

晩学の瞳麗し石蕗の花

まめばと

4日(月)

握りたる手は温かき冬すみれ

ゆっここ

5日(火)

木枯しやいいね一つに励まされ

木久麻呂

6日(水)

セロリ漬け親の悩みは順送り

Keiko

7日(木)

木枯らしや一人バス待つビルの陰

浦和太郎

8日(金)

耳元へ大事な言葉凍てぬよう

味噌田楽

9日(土)

風止んで寒雀二羽飛び立てり

冬熊猫

10日(日)

子には子の生き方の有り寒昴

福井桔梗

11日(月)

遠き日の文庫は褪せて霜夜かな

ゆっここ

12日(火)

お手玉の母の蜜柑のあたたかし

刈屋まさを

13日(水)

表札は昔のままの花八ツ手

冬すみれ

14日(木)

過ぎし日は革手袋の皺の中

味噌田楽

15日(金)

凍空やユトリロ白の時代展

伊豆六郎

16日(土)

口出しの過ぎしを悔やむ実南天

Keiko

17日(日)

夢買うに長蛇の列へ着ぶくれて

桜月

18日(月)

隠れんぼすぐに見つかる冬帽子

冬すみれ

19日(火)

食べしこと忘るる母に冬苺

伊豆六郎

20日(水)

霜柱踏み登校の列乱る

白地

21日(木)

折々の母のひと言根深汁

桜月

22日(金)

縦書にこだわり続け日記買ふ

流郎子

23日(土)

分校の鉄棒低し帰り花

マチ

24日(日)

肩張りしひとつを籠に冬林檎

Keiko

25日(月)

カピバラも眼を閉づ柚子の香りかな

こころん

26日(火)

沈黙も大福も佳き小春かな

まめばと

27日(水)

駅ビルに授乳ブースや冬ぬくし

伊豆六郎

28日(木)

挨拶の長くなりし師走人

木久麻呂

29日(金)

大根を引いて地球と綱引きす

白よだか

30日(土)

ままごとの皿に赤き実ちゃんちゃんこ

Keiko

31日(日)

咳三つ五つ九つ路線バス

冬熊猫

2024年1月

1日(月)

ポインセチア商店街の六等賞

冬すみれ

2日(火)

湯冷めするばかりの外湯巡りかな

伊豆六郎

3日(水)

濡れ髪のくしゃみ一つの湯ざめかな

ゆっここ

4日(木)

冬北斗青春きっぷ乗り継ぐ夜

やっさん

5日(金)

逃げる児を追い掛け着せて湯ざめかな

季與子

6日(土)

重き荷をひとまづ下ろし冬至風呂

7日(日)

手のひらに雪一片の刹那かな

味噌田楽)

8日(月)

観覧車の電飾きえて冬銀河

大浦みもざ

9日(火)

故郷は雪舞ひ散るを告げる風

味噌っ子

10日(水)

パトカーの狂うて過ぎる凍る夜

ゆっここ

11日(木)

年金日ちょっと欲出る年の暮れ

静寂

12日(金)

思ひ出はアーカイブ入り年の暮

福井桔梗

13日(土)

追い焚きを頼みし頃の湯ざめかな

Keiko

14日(日)

言い訳は火鉢の灰をかき混ぜて

季與子

15日(月)

この空も能登につづくや冬薔薇

Keiko

16日(火)

人日や清貧に生き悔いはなし

17日(水)

寒造り土蔵の小窓ホッと開く

白地

18日(木)

幕開けの柝の音三味の音初芝居

伊豆六郎

19日(金)

盛り塩の徐々に崩るゝ寒の雨

ゆっここ

20日(土)

カーテンの裾の陽揺れてすきま風

味噌田楽)

21日(日)

初旅や形見の真珠光りをり

桜月

22日(月)

約束は嘘のはじまり雪女

冬すみれ

23日(火)

繭玉の華やぎ降れる奥座敷

ゆっここ

24日(水)

餅花のゆるる寄席からふれ太鼓

25日(木)

採用の報や柚子湯に浮いている

こころん

26日(金)

青空に光をかえす福寿草

マチ

27日(土)

結い上げし黒髪にほふ初鏡

ゆっここ

28日(日)

一斉に枕木替えし星凍つる

伊豆六郎

29日(月)

固き芽や風もうれしと春を待つ

福井桔梗

30日(火)

母在れば寄りたき日なり女正月

桜月

31日(水)

バス停の乙女椿の愛想良し

Keiko

2024年2月

1日(木)

大寒や方便の嘘ひとつつく

ゆっここ

2日(金)

ハープの音聞こへ来そうな氷柱かな

白地

3日(土)

口下手は何時も聞きやく小正月

マチ

4日(日)

餅花を飾る面影祖母の髷

Keiko

5日(月)

熱燗をすすめて父に願ひ事

6日(火)

熱燗を呷る親父のわらべ歌

白よだか

7日(水)

小正月肩まで浸かる露天風呂

木久麻呂

8日(木)

雪兎死ぬまで泣いてなお赤目

白よだか

9日(金)

風花や記憶失せゆく母の笑み

伊豆六郎

10日(土)

野を駆けて山への夢を雪兎

白地

11日(日)

まだ形ある雪兎野に放つ

寧楽

12日(月)

初恋は反対側にどんどの火

だらのん

13日(火)

恋すらば命はかなき雪兎

ゆっここ

14日(水)

眼を入れて跳びだしさうな雪兎

15日(木)

いそいそと駅弁ひらく雪見旅

まめばと

16日(金)

夫と行く弾む杖おと春近し

ゆっここ

17日(土)

虎落笛誰も来ないな滑り台

白地

18日(日)

駅一つ越えてお喋り梅ひらり

静寂

19日(月)

熱の子を抱く真夜中の雪見窓

伊達紫檀

20日(火)

「ただいま」は鰤大根の煮えた頃

白よだか

21日(水)

レゴの城崩れし侭に冬の暮

季與子

22日(木)

薄氷を割つて青空確かなり

紅珊瑚

23日(金)

春光や池面に白き鷺の襞

伊豆六郎

24日(土)

畦を焼く父へ届ける握り飯

ゆっここ

25日(日)

軽トラを追い越し行くや春一番

チョコばあば

26日(月)

大仏も鹿も煙たきお山焼

Keiko

27日(火)

山火見るみんな原始の人となる

福井桔梗

28日(水)

春寒を忘れて居りぬ川の音

白地

29日(木)

慶喜の謹慎の間に座す余寒

伊豆六郎

2024年3月

1日(金)

満作の蕾ほどけて糸の雨

ゆっここ

2日(土)

菫野やよちよちの子の靴に泥

伊達紫檀

3日(日)

冴返る街行く異人の半ズボン

季與子

4日(月)

もう少し歩こう梅の香っている

桜月

5日(火)

恋猫のモンローウォーク旧市街

紅珊瑚

6日(水)

小鏡のくもりとりたる春の夜

紗知

7日(木)

不知火や父はポンカン母清美

Keiko

8日(金)

春障子子の熱下る気配有り

白地

9日(土)

日記には善きことばかり春の雨

10日(日)

春眠も寝癖も乗せて路線バス

三月

11日(月)

ひなまつり園児全員参加です

福井桔梗

12日(火)

春愁い謹呈入りの古書句集

伊豆六郎

13日(水)

保育所の雛は折り紙子は寝息

こころん

14日(木)

大声で呼べば出て来る種物屋

ゆっここ

15日(金)

啓蟄やそろそろと湧く旅心

福井桔梗

16日(土)

寝返りて朧なりけり下弦月

季與子

17日(日)

木の芽雨忘れし鉢に何かの芽

白地

18日(月)

初めての長靴はく子春の雨

紗知

19日(火)

水温む鴨は影連れ川上へ

Keiko

20日(水)

旧友と手話で別れる遅日かな

白よだか

21日(木)

相馬より土偶絵手紙震災忌

Keiko

22日(金)

黙祷の後のまぶしき春の空

麻きなり

23日(土)

あれからは静かな海の霞けり

里すみか

24日(日)

騎馬像の前足高く春の空

伊達紫檀

25日(月)

みちのくの人偲ぶ頃白木蓮

三月

26日(火)

手庇の親子並びぬ春の空

福井桔梗

27日(水)

一人でも穏やかであれ春の空

紗知

28日(木)

29日(金)

30日(土)

31日(日)