遺言書の中で遺言執行者を指定しておいた方がよいと聞きました。遺言執行者とは何をする人で、誰を指定すればよいのでしょうか。遺言書で指定しておかないと遺言書自体が無効になりますか。(70代、女性)

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するためにさまざまな手続きを行う人のことです。遺言執行者は、相続人全員の代理人として遺言内容の通りに不動産の名義変更を行ったり、銀行口座を解約して相続人に分配したりする役目を担います。共有財産の相続登記をする場合、原則として相続人全員の同意が必要ですが、遺言執行者がいれば単独で登記申請をすることができますので、相続人の間で争いがある場合にメリットがあります。

遺言執行者は未成年者や破産者以外なら誰でもなることができ、相続人の一人が務めることもできます。しかし、他の相続人が遺言の内容に不満を持っている場合、協力が得られにくくなったり、感情的なしこりが残ったりしますので第三者が望ましいでしょう。

この点、遺言書の作成を弁護士や司法書士などの専門家などに依頼した場合、その専門家らが遺言執行者を兼ねるケースが多いです。専門家に遺言執行者だけを依頼することもできますが、報酬を支払う必要があります。報酬はおおむね相続財産の1~3%程度です。

遺言執行者の指定がなくても遺言書自体が無効になることはありませんが、相続の諸手続きで相続人全員に手間がかかりますので、確実な相続実行のために遺言執行者を指定するケースが増えています。

なお、遺言執行者について遺言書で指定がない場合でも、相続発生時に家庭裁判所に選任を申し立てることが可能です。遺言や遺言執行者に関するご相談は生活の窓口でも受け付けております。(生活の窓口)