自宅で独り暮らしの兄が突然死して半年以上経過しました。相続人は体調の悪い高齢の母のみで、手続きは滞っています。「相続税の申告要否検討表」が届いたようですが、何から始めると良いですか。(50代、女性)

最近、国税庁からの相続に関する郵送物についてお問い合わせが増えています。

相続税の申告要否検討表では、各項目を記入すると相続財産の保有状況などから課税遺産総額を求め、相続税の課税対象かを判定できるようになっています。課税価格の合計が基礎控除額より少ない場合は、相続税の申告が不要になるため、記入した用紙を提出すれば足ります。

他方、相続税の申告が必要な場合は用意する書類が多いため、すぐに手続きを進めないと申告期限に間に合いません。申告期限に1日でも遅れると、やむを得ない事情があったにせよ延滞税や加算税が発生する場合がほとんどです。面倒になり放置するのは得策ではありません。申告要否検討表の用紙が届いたということは、亡き兄の不動産登記内容や金融資産状況などについて税務署が一定の情報を把握しており、相続税の申告が必要になる可能性を想定していると考えられるからです。

兄の通帳残高を把握できない場合は、生前に取引のあった全金融機関に残高証明を発行してもらいます。取引明細の取得が必要になることもあります。お母様の実印をついた委任状があれば、あなたや税理士などの専門家が手続きを代行できます。

今回は相続財産に不動産が含まれるため、名寄帳を不動産のある市区町村役場で取得し、権利関係を明らかにするために法務局で登記簿謄本を取得してください。また、兄の出生から死亡までの連続した戸籍謄本も取得して、相続人を確定してください。生活の窓口では、相続に関するご相談も承っております。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>