高齢者施設への入所を考えています。身の回りの持ち込み品が限られているので、マンションに住む妹に引き取ってもらう物など相談していますが、長年連れ添ってきた猫を引き取れないと言われ、困っています。(70代、女性)

家族同然のペットを大切に思うお気持ちはよく分かります。ペットも長寿化しているのでいざという時に誰に託すかでお困りのご相談をいただきます。一方、最後まで責任をもてないからと新たに飼うことを我慢するのもストレスです。

そこで、ペット向け信託の活用をおすすめします。信託は所有者(委託者)が特定の財産を受託者に委ね、その結果得られた利益(売買収入、賃貸借収入など)を受益者が受け取ることを契約で定める仕組みで、いずれも人(法人)でないと組めないので「物」であるペットを受益者にすることはできません。そこで、ペットのお世話をする第三者を受益者に指定することでご自身に万が一のことがあった場合に備えます。

信託以外にも遺贈することでペットの世話をお願いする仕組みもありますが、信託スキームだと利益を分割して定期的に支払うなど柔軟に対応できるので安心です。信託手数料が安いタイプも登場しています。

ご自身のペットへの思いを、妹さんら他の親族が理解していたとしても、最後までペットの世話に責任を持てるかどうかは分かりません。ペットが障害になって、他の話が進まないのであれば、こうしたサービスを利用するのも悪くないでしょう。

さらに、最近では住宅型有料老人ホームなどでペットと同居できる施設も増えてきています。入居者が自身で世話をできなくなった場合、提携先の飼育施設を紹介してくれます。ただし、ペットの種類が限られているなど課題もあります。シニアのペットに関するご相談は生活の窓口で承っております。

【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】