夫婦共に間もなく65歳となり年金受け取りの開始ですが、年金収入だけでは生活費が足りず預貯金から取り崩す必要があります。年金の受給開始を繰り下げると預貯金の目減りをどの程度防げますか。(60代、男性)

50歳以上のねんきん定期便には60歳までの現在の収入維持を前提とした65歳からの年金受給額が記載されています。そこから10~15%程度が税金や社会保険料として差し引かれ、残りが手取り額です。年間の受給額が夫240万円・妻70万円の夫婦で収入は年金のみとした場合、夫婦の手取り額合計はおおむね280万円程度です。夫婦の65歳時点での預貯金額を2000万円、年間生活費を360万円とした場合の年金繰り下げの効果を見てみましょう。

65歳に年金受給を開始した場合の預貯金からの取り崩し額は年間80万円、30年間で2400万円となり、95歳になる前に預貯金額2000万円を使い果たしてしまいます。一方、受給開始を夫婦共に70歳まで繰り下げた場合、受給額は1.42倍に増額されて夫340万円・妻99万円となり、夫婦合わせた手取り額はおおむね390万円程度となります。70歳までは預貯金から生活費を取り崩す必要がありますので、5年間での取り崩し総額は1800万円ですが、70歳以降は原則、年金の手取り額から生活費を引いても30万円ほど余力がある状況となります。あくまでも概算ですが、95歳時点での預貯金額は、65歳受給開始で400万円の赤字、70歳受給開始で950万円の黒字となります。

なお、2022年度の制度改正で繰り下げの上限年齢が75歳となり、75歳まで繰り下げた場合の受給額は65歳時の1.84倍となります。受給開始時期をなるべく繰り下げたほうが後々安心です。生活の窓口ではライフプランの相談も承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャル プランナー)平田純子>