父から相続した土地に4階建て住宅を40年前に建て、子の独立後は1人暮らしです。立地が良く不動産会社から高額での売却を打診されています。住み替え用のマンションは、いくらなら購入できますか。(70代、女性)

マンション室内には階段がないため、転倒リスクを軽減できるのは安心です。共用部分は維持管理の手間が省けるだけでなく、セキュリティー面にもメリットを感じます。

あなたの相続においても、相続税評価額の圧縮を見込んでマンションに住み替えることは得策です。子がマイホームを所有しているとのことですから、「小規模宅地等の特例」を利用して土地の相続税評価額を下げることができません。その場合は戸建てに比べて土地の割合が小さいマンションに住み替えた方が相続対策として有効です。

住み替えた後、手元に残る預貯金から、家計の不足額を毎月取り崩して残りの人生を過ごします。毎月の収支を費目ごとに整理して、不足総額を把握します。貯蓄残高は常にプラスで推移する必要があるため、緻密なキャッシュフロー表を作成しましょう。住み替えた後、手元に残す必要額を試算すると、購入できるマンション価格が分かります。

住み替え時は仲介手数料や登記費用、引っ越し代、譲渡益にかかる税金など出費がかさみます。売却代金を購入代金に充当する場合はタイミングによって賃貸など仮住まいが必要になるため心得ておきましょう。土地は70年前に先代が購入したようですから、取得費は概算で売却価格の5%分の金額を適用することになるでしょう。このため、譲渡益が膨らみがちで税制上の特例や軽減税率を利用しても譲渡にかかる税金は高くなります。手元に残ったキャッシュを手堅く上手に殖やしながら、資産寿命を延ばすことも考えましょう。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>