認知症の妻を受取人とした生命保険について、保険金を一時金でなく毎月一定額という形で受け取れるようにしておきたい。妻の死後は、保険金の残額を妻の面倒を見てくれている娘に渡したい。(70代、男性)

あなたが生前に築き上げた財産を、特定の誰かに確実に渡したい時、預貯金などの一部を生命保険に置き換えておくことが効果的です。保険金は、指定された受取人固有の財産となり、遺産分割の対象財産からは除外されるからです。

しかし、受取人が認知症や高齢者、障害者や未成年者で財産管理の面で心配がある、大金があると使いすぎてしまいそうで気がかりだといったケースでは、保険金として数百万~数千万円の一時金が支払われることに不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。保険契約によっては、保険金が年金形式で支払われるよう契約時に設定しておくこともできますが、請求時に受取人が一括で支払うよう請求することもできる点で根本的な解決策とは言えません。

一方、対象の保険契約について、あらかじめ信託銀行や信託会社と生命保険信託を締結しておけば、契約者の希望通りの保険金の支払いが実現できます。

例えば、保険金を認知症の妻に毎月10万円ずつ渡し、妻が亡くなったら保険金の残額は娘に一時金で渡すなどと、第2の受取人を指定しておくこともできますし、受取人は個人に限らず活動に共感する団体を指定しておくことも可能です。保険金とあなたの思いを届けたい相手に確実に届けることができるという安心感が得られます。

なお、保険料とは別に信託契約手数料などの料金が発生すること、生命保険信託を扱う保険会社が限定される点に注意が必要です。生活の窓口では、相続に関するご相談を承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>