夫婦2人とも年金受給者です。会社勤めだった私の年金収入は年間170万円、自営業の夫は70万円。大学卒業後に就職した子はともかく、私の死後の夫の生活が心配です。夫は遺族年金を受給できますか。(60代、女性)

死亡者に生計を維持されていた者が受給できる遺族年金には基礎年金と厚生年金があり、受給要件や金額の算出方法が異なります。遺族基礎年金の受給要件は、死亡者に生計を維持されていた子、または子を持つ配偶者で、子の年齢が18歳になった年度末までの期間に該当することです。お子さんが成人している今回のケースは該当しません。

一方、遺族厚生年金の受給要件は幅広く、その優先順位順に配偶者、子、父母、孫、祖父母で、あなたが先に死亡した場合に夫は遺族厚生年金を受給できます。なお夫は配偶者の死亡時に55歳以上でないといけませんが、ご主人は年金受給者なので満たしています。

ご主人が受給できる遺族厚生年金は、あなたの老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。老齢厚生年金の受給額は、報酬比例部分と定額部分に分かれていて、現役時代の収入によります。仮にあなたの年金額170万円の内訳が、基礎年金70万円、厚生年金100万円で、厚生年金の報酬比例部分が100万円であったとすると、遺族年金額は75万円となり、夫は自身の老齢基礎年金70万円と合わせて毎年145万円の年金を受け取れます。

シニアの資金計画においては、夫婦で長生きするケースはもちろんですが、夫婦いずれか一方が先に亡くなったケースも考慮する必要があります。月額生活費を夫婦の月額生活費の約7割として、遺族年金や生命保険金、預貯金などで将来的に資金不足の事態にならないことを確認しておきましょう。生活の窓口では、ライフプランの相談を承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>