物価連動国債が組み入れられている投資信託が販売されていることは知っていますが、物価連動国債のみを個人で購入できますか。インフレリスクの回避目的として興味があります。(60代、男性)

原材料価格の高騰、原油価格の上昇による物流コスト高などに加えて、円安進行による輸入コスト高などが原因となり、値上げラッシュが家計を直撃しています。物価の上昇はお金の価値を目減りさせるため、インフレに有効な資産運用を選んで備えたいものです。

物価連動国債とは、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)の動向に連動して、元金額と利払い額が増減する国債のことです。物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増え、それに伴って利払い額も増えます。物価が下落した場合でも、償還時の元金額が額面金額を下回ることはありません。インフレ時に比較的安心して選べる商品といえます。

一方、留意点は額面金額で購入できるとは限らないことです。発行時の価格はインフレ予想を織り込んで決まり、既発債の価格は流通市場において決まります。額面金額より高く購入すれば、償還時に投資元本を下回る可能性があります。

物価連動国債は新規発行を休止していた期間がありましたが、デフレ脱却を背景として投資信託だけでなく、2015年から個人向けの販売が解禁されています。ただし、その取り扱いは大手証券会社などが各社独自に決めており、個人で購入できる最低金額などの詳細は各金融機関に問い合わせる必要があります。

表面利率は固定ながら計算の基礎となる元金額が物価動向に応じて変動し、年2回の利払い額が増減します。経済の好循環による持続可能な物価上昇の見通しが立った時に限って、選択肢の一つになるでしょう。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>