少しでも多くの財産を、障害がある高校生の孫に残したいと思っています。生前贈与も考えましたが、贈与の手続きを面倒に感じて二の足を踏んでいます。良い方法があれば教えてください。(70代、男性)

生前贈与 保険会社のプラン活用

あなたとお孫さんとの間で贈与の都度、贈与契約書を作成することを面倒に感じておられるのでしょう。贈与の手続きは簡単に済ませたいし、贈与税の基礎控除110万円も活用したいと考えている場合に、生命保険の生前贈与プランをお勧めします。

贈与契約書を作成しなくても、保険会社が発行する支払い通知が贈与の記録になるため、定期贈与として課税されるリスクを回避できます。あなたが契約者となって生前贈与プランに加入し、生存給付金の受取人を孫に指定します。ただし、生存給付金の受取先を孫名義の普段利用している口座に設定します。

例えば、保険期間10年・一時払い保険料1000万円の生前贈与プランにあなたが加入したとします。毎年およそ100万円の生存給付金が保険会社から孫の口座に振り込まれます。贈与税の対象にならない金額で受け取ることができますね。

孫を死亡保険金受取人に指定していたり、遺言でお孫さんに財産を残したりする場合は、2024年1月以降は注意が必要です。23年度税制改正大綱によれば、あなたが亡くなる前7年間の孫への贈与は一定ルールのもと段階的に相続財産に加算されて相続税の課税対象になります。

そこで、孫が18歳になって以降は、相続時精算課税制度の適用を受けて生存給付金を受け取る方法がいいです。相続時精算課税選択届出書の提出が必須ですが、メリットとして贈与額が年間110万円以下であれば贈与の申告が不要です。生活の窓口では、相続のご相談も承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>