亡き父が原野商法で買ってしまった土地を相続しました。固定資産税はかかっていないものの、負の遺産を処分したいと思うのですが、子供が相続放棄をすればよいですか。(70代、男性)

2次被害注意 「国庫帰属」考えて

原野商法は「将来、必ず値上がりする」とうその勧誘をし、価値のない山林や原野を売りつける悪徳商法で、1970~90年代に被害が多発しました。ところが、最近、原野商法の被害者やその相続人を狙った2次被害が多発しています。「高額で買い取る」「節税対策のために一時金の支払いが必要」「滞納している管理費の支払いを」などと電話や通知状で勧誘し、現金で支払わせます。心当たりがある方は消費生活センターに相談してみましょう。

そもそも価値のない土地ですから、不動産会社に話を持ち掛けても相手にされず、自治体も寄付を受け付けてくれないケースがほとんどです。相続したくない場合の相続放棄は、マイナスの財産だけでなくプラスの財産もすべて放棄しなくてはならず得策とは言えません。

そこで、今年4月からスタートした相続土地国庫帰属制度の利用が対処方法として挙げられます。法務局に申請して承認を得る必要があるうえ、10年分の管理費相当額を支払う必要があります。ただ、自分の代で相続財産をきちんと整理しておきたい方にとっては、国に引き取ってもらえる安心感は何物にも代えがたいでしょう。

来年4月から相続登記が義務化され、過去の相続にさかのぼって放置していれば過料の対象となります。従来は相続した不動産の登記を放置するケースが多かったのですが、今後は相続放棄するか、きちんと相続登記して処分する責任が生じます。

生活の窓口では、相続や相続した不動産の処分に関するご相談も承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>