親から相続した山林を持て余しています。同様に、処分に困っていた友人が先日、立ち話で「山林を自治体が無償で引き取ってくれる」と喜んでいました。そんなことって実際、ありますか?(70代、男性)

「国庫帰属」煩雑でも他に道少なく

2024年4月に相続登記が義務化されることが周知されてきたため、山林や雑種地といった、あまり意識せずに相続した土地の処分に関する相談が増えています。土地が属する自治体であれば寄付を受け付けてくれるのではないかというこの方のような相談も多いのですが、実際には断られるケースがほとんどです。ご友人はとても幸運でしたね。

背景には、国が相続した土地を一定の条件で引き取ってくれる「相続土地国庫帰属制度」が今年4月から始まったこともあります。利用方法に関する問い合わせや実際に申請してみたという相談をいただきますが、制度の利用には時間と労力、お金がかかります。

土地を管轄する法務局に予約を入れて面談するところから始まり、申請に必要な境界線画定のための書類や資料などをそろえなければなりません。何度も現地に行くか、現地の代理人に依頼することになります。

さらに申請から承認まで数カ月かかる上に承認される確証はありません。また、不承認でも審査手数料はかかり、承認されれば10年間の土地管理費用程度の負担が生じます。

そこで、未登記の山林や管理不十分の山林を町有林化している兵庫県佐用町の取り組みを紹介します。森林機能の健全な維持が目的で、一定の要件を満たせば審査を行い、寄付または買い取りの形で山林を引き取ります。木材は薪やバイオマス発電所の燃料として活用します。同様の取り組みが広がれば、国庫帰属とは違った形で山林を有効活用できるのではないかと思います。ご存じの方は情報提供をお願いします。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>