口座を母が放置 お金が戻らない?

老いた母親の使っていない預金口座があり、不要なら解約して整理するように言おうと思っています。放置している場合は、手続きしてもお金が戻ってこないこともあるのでしょうか。(50代、女性)

「休眠」でも、手順踏み引き出し可

最後に行った入出金等の取引が2009年1月以降である銀行預金等において、10年以上取引なく放置された場合は、休眠預金として預金保険機構に移管されます。対象になるのは、銀行の普通預金・定期預金、ゆうちょ銀行の通常貯金・定期貯金・定額貯金、信用金庫の普通預金・定期積金等です。

ただし、本人確認書類などをそろえて手続きすることにより、休眠預金になった場合でも「元本とその利息」を引き出すことができます。金融機関の窓口で、期限を設けず対応してくれるため、一安心ですね。預金者本人が認知症を発症している場合は、原則として、成年後見制度を利用して後見人に手続きを依頼することになります。手間と費用が負担になるため、特に預金者本人のために使う予定がない場合は、預金者が亡くなってから相続財産として相続人が所定の手続きを経て引き出す方が良いでしょう。

なお、休眠預金になる前に、一定ルールのもと金融機関から送られてくる通知を郵送物やメールで受け取れている場合は休眠預金になりません。

また、郵政民営化(07年10月)より前に預け入れた郵便貯金のうち、定額郵便貯金・定期郵便貯金、積立郵便貯金については休眠預金とは取り扱いが異なるため注意が必要になります。旧郵便貯金法の規定によって、満期後20年2カ月を経過すると払い戻しができなくなります。すでに満期を迎えているようですから、お母様にも心当たりがないか声をかけて、払い戻し請求の権利が消滅する前に手続きしましょう。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>