施設入居 月払い、一時金の選択は?

 老人ホームのパンフレットを見ると、同じ施設でも、費用の月払いと一時金での支払い方法があるようです。その違いや、どちらを選択すべきなのかがわかりません。高額な一時金の支払いは不安です。(80代、女性)

住み替えの有無や資金を考えて

 多くの施設が家賃や利用料の支払いについて、月払い▽全額一時金払い▽一部一時金払い――という選択肢から入居者が選択する方式をとっています。

 一時金は、想定居住期間分の家賃の前払いにあたり、おおむね5、6年分となります。家賃の全額を一時金として支払うことで、居住中は毎月の利用料のみの支払いになるため、月々の費用負担が抑えられます。また、想定より長く居住する場合も、追加の家賃負担は発生しないので、施設居住における累計負担額を軽減できます。

 一方、月払い方式は初期費用を抑えることができる代わりに、月額の負担が増えるうえ、居住期間が長くなればなるほど累計負担額がかさんでいきます。

 一時金を支払ったのに退去せざるを得なくなった場合、入居開始から5年未満であれば、一時金から初期償却分を除いた残額の未償却分が返還されます。初期償却の有無や一時金に対する割合は施設ごとに異なるものの、おおむね一時金の30%程度です。入居から90日以内の退去であれば、全額返金してもらえるクーリングオフ制度もあるので安心です。

 どの支払い方式を選ぶのがよいかは、入居時の年齢や健康状態、資産状況により異なります。金融資産に余裕がある方、持ち家を売却してまとまった資金を得られる方は一時金方式を、いずれ住み替えるという方は月払い方式を選ぶとよいでしょう。検討時には保有資産と年金額で資金計画を立てることが不可欠です。

 生活の窓口では、施設探しとマネープランのご相談を承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>