借地上に不用の実家 地代が値上げ

 母亡き後に借地上の実家を相続することになりますが、住む予定はなく、賃貸するつもりもありません。それなのに、地主から地代の値上げ連絡があり、困っています。どうするべきですか。(50代、女性)

放置せず、地主と処分の交渉を

 借地上の家屋を相続すると、土地の借地権も遺産になるため、相続税の対象です。家屋の所在地の路線価に借地権割合を乗じて借地権の評価額を算出し、相続税を納めます。住む予定のない空き家であっても地代の支払いは続きます。借地権の種類が定期借地権であれば、期間満了時に更地で返還する義務があるため、空き家の解体費用もかかります。

 また、放置したままでは特定空き家に指定されて固定資産税が最大6倍に増えるおそれがあるほか、台風によって倒壊した空き家が他人に被害を与えた場合、空き家所有者には損害賠償責任が生じるなど、継続的な管理コストがかかります。空き家の活用または処分を早急に選択したほうがいいでしょう。あなたは手放す方向で検討なさるのですね。

 相続放棄を検討する方がいらっしゃいますが、借地権を手放せる一方でほかの遺産も受け取れなくなるため、現実的ではありません。いったん相続した後に地主に借地権の買い取りを交渉してみてはどうでしょう。買い取り価格は実勢価格の5割程度です。空き家の解体費用をどちらが負担するかを話し合いましょう。

 地主に買い取る気がない場合は、借地権が設定された土地と借地権を地主と協力してセットで処分するのも一考かと思います。買い手がつきやすくなり、高く売れます。これも難しければ、最も一般的ですが、借地権付きの家屋として不動産業者を通じて買い手を探すことになります。地主に無断で売却すれば賃貸借契約の解除事由に当たり、トラブルになります。地主の承諾を得て承諾料を支払いましょう。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>