相続税対策 不動産の活用に関心

 不動産を活用して子世代の相続税の負担を減らす方法があると聞きました。自宅以外に不動産を新たに所有するために、新たなローンを組むなんて考えられませんが、仕組みは気になります。(70代、男性)

厳選物件の「小口化商品」も一案

 現金や預金で相続するより、不動産に置き換えて相続したほうが相続税の負担が小さくなります。相続税の計算の基となる財産の評価方法が異なるからです。

 金融資産の場合、その時点の時価がそのまま相続税評価額となりますが、不動産の場合、土地や建物の実際の取引価格の8割程度とされる路線価や固定資産税評価額を基準に計算されます。さらに、賃貸用建物は基準となる固定資産税評価額から借家権割合に応じて最低3割程度が割り引かれます。

 加えて、不動産の購入資金として金融機関でローンを組むことにより、その分、資産額を圧縮できます。

 ざっと不動産の活用方法について説明しましたが、国内の長期金利が上がり始めたなどのニュースを聞くと、不動産投資に不安を覚えるのも分かります。年配者だとなおさらです。そこで不動産小口化商品を活用する方法があります。1棟の不動産を1口100万~1000万円程度の小口にして販売している商品のことです。

 高額な都心のオフィスビルや商業施設など、プロが厳選した物件に少額から投資ができる上、相続人の数だけ購入すれば不動産特有の分割できないというデメリットを克服できます。

 小口投資である分、金利変動や空室管理に伴うリスクは低減できるものの、リスクがゼロにはならない点には注意が必要です。リモートワークの普及などオフィスビルの経営環境にも変化が出てきています。生活の窓口では、相続に関するご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>