夫が客死 住職が葬儀やり直し要求

 夫が仕事先で急死し、葬儀などはそこで済ませましたが、夫方の墓のある寺から「葬儀をやり直して戒名も付け直す」と言われ、困っています。住職とは夫の父の代から折り合いが悪かったようです。(70代、女性)

墓じまいと譲歩、念頭に交渉を

 ご住職は檀家(だんか)の墓地の管理や葬儀・法要といった供養を任されていますので、よそで葬儀を済ませたと知っては穏やかではいられないでしょう。いわゆる戒名も宗派で異なるため、檀家の属する宗派に合ったものにする必要があります。そこに折り合いの悪さが影響したのかもしれませんが、ご先祖の遺骨を預かっていただいている以上、じっくり話し合うしかないでしょう。

 落としどころは二つ。一つ目はこれを機に墓じまいをすることです。ご相談のケースでも、いずれ墓じまいをするつもりだったそうですね。ただし、離檀料の支払いは覚悟する必要があります。特に今回は感情面であつれきが生じているようですので、高額になるおそれがあります。

 二つ目はご住職の言うように再度葬儀をして戒名を授け直してもらうことです。お布施と戒名料を支払うことになり、宗派によって金額はまちまちです。墓じまいの相談はしばらく様子をみて切り出しましょう。

 最も避けるべきは、面倒だからと放置してしまうことです。檀那寺(だんなでら)との関係が決定的に悪化して、いずれ墓を処分され、高額な費用を請求されかねません。

 檀家と檀那寺の関係は、法律や契約では律し切れない側面がありますので、誰に怒りをぶつけていいか分からず苦しむ方が少なからずいらっしゃいます。そもそも葬儀社は亡くなった方の檀那寺との関係を把握し、必要なら寺に連絡を取るように促すなど適切な助言をすべきでした。生活の窓口では、葬儀や葬儀社選び、墓じまいに関するご相談も承っています。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>