遺産で孫を援助 娘に伝えたが

 2人の子どものうち、息子には子どもがいません。そのせいか、娘の家の孫2人が可愛くてしょうがありません。勉学や結婚費用の足しに私の遺産から現金を渡すよう娘に伝えていますが、留意すべきことはありますか。(80代、女性)

遺言書作り分割方法の指定を

 孫は法定相続人ではないため、原則として、娘さんに伝えているだけでは、相続させることはかないません。法定相続人が先に死亡した場合などの「代襲相続」により、お孫さんに相続権が発生する可能性はありますが、あらかじめ想定できるものではありません。

 まずは、遺言書を作成しましょう。遺言書を書くことに抵抗感がある方もいらっしゃいますが、最近は、積極的にご自身の財産の行き先を決めておく方が増えています。

 お孫さん2人を援助したいのであれば、法定相続人、特に息子さんの遺留分を考慮した上で、遺言により遺産の分割方法を指定します。

 例えば、「遺言者は、遺言者が有する財産のうち、次のものを○○○○=お孫さんの氏名=(生年月日)に遺贈する」などと記し、お孫さん2人分をそれぞれ指定します。また相続人間でトラブルなく納得できるよう、付言事項にあなたの気持ちや願いを添えておくといいでしょう。

 なお、お孫さんが支払う相続税は2割増しになります。

 遺言書がない場合でも、遺産分割協議で息子さんの合意が得られれば、お孫さん2人に現金を渡すことはできます。ただし、相続人である息子さんと娘さんから金銭を贈与する扱いになるため、相続税ではなく贈与税の対象となり、税金が割高になってしまいます。

 資金的に余裕があるのであれば、お孫さんへの支援は相続を待たずに、贈与税の特例措置を使って教育資金や結婚・子育て資金として贈与する方法もあります。生活の窓口では、相続のご相談も承っております。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>