自宅を姉弟3人に相続させたい

 持ち家であるマンションで1人暮らしをしています。私が亡くなったら、マンションを売って3人の姉弟で分け合ってほしいと考えています。姉弟の仲は良好ですが、私の意向を伝えておく以外にしておくことはありますか。(80代、女性)

遺言書を作成 手続き簡素化を

被相続人が独身者で子がなく、ご両親もすでに他界されている場合の相続人は兄弟姉妹となります。遺言書がないまま相続が発生した際は、全相続人が遺産分割協議の上、分割内容を決めて、全員の署名と実印を押した協議書を作成します。

 相続人が相続財産である不動産を売却するには、まず不動産の登記を相続人に変更しなければなりません。相続登記の一連の手続きは多少煩雑で手間を要しますが、姉弟の仲が良好であれば、滞りなく進むことと思います。

 しかし、相続人の中に認知症の方がいらっしゃるケースにおいては、スムーズには進まないかもしれません。遺産分割協議には、認知症の方の代わりに、家庭裁判所から選任された特別代理人の出席が不可欠となり、その特別代理人は相続人以外の人から選ばなければなりません。

 ご姉弟で、すでに亡くなった方がいらっしゃる場合は、その方の子、つまりあなたのおいめいが相続人となりますが、付き合いが希薄な状況だと手続きも滞りがちになります。

 そうしたリスクを考えて、あなたが遺言書を作成しておくと安心です。法的に有効な遺言書があれば、原則、遺産分割協議は不要です。相続登記に必要な書類の収集も簡素化でき、相続人の負担を軽減できます。

 なお、あなた自身が認知症を発症するリスクも考えておきましょう。お元気なうちに任意後見契約を結んで、介護費用や施設費用などを捻出するための財産処分を委ねます。

 生活の窓口では、相続に関するご相談や認知症による相続トラブル回避に関するご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>