母のマンション 相続争い避けたい

 母の再婚相手が亡くなりましたが、その連れ子が母のマンションを露骨に狙っています。母は住み続けたい意向もあるのですが、相続争いを避けるため売却を望んでいます。どうすればよいでしょうか。(60代、女性)

売却後も居住可「リースバック」を

 お母様が再婚相手の連れ子と同じ戸籍に入っていても養子縁組が成立していなければ、連れ子がお母様の遺産を相続する権利は認められません。まずは養子縁組をしているかどうかを調査しましょう。お母様の戸籍に記される縁組事項は、書き換えや転籍などで戸籍に変動があると移記されないため、古い戸籍までさかのぼって調査する必要があります。

 連れ子がお母様と養子縁組していた場合は、対策が必要です。お母様が住み続けたいのであれば、「リースバック」の活用を提案します。

 リースバックとは、自宅を売却し、売却先と賃貸借契約を結んでそのまま住み続ける契約形態を指します。売却代金が手元に残るので遺産分割しやすくトラブルを回避できます。お母様を説得する際、マンションの管理費や修繕費、固定資産税を売却後は負担しなくてよくなる点をメリットとして打ち出しましょう。

 市場取引相場の7割前後が売却価格として手元に入る一方、賃借人として1年間に支払う家賃の相場は売却価格の10%程度です。つまり、リースバックは住み続けられるとはいっても、いずれ早期に退去することを前提としているケースが多いことを頭に入れておきましょう。

 なお、賃貸借契約には定期借家契約と普通借家契約があります。定期借家契約は大家の意向次第で期間満了後に再契約できなければ退去しなければなりません。再契約できたとしても家賃を値上げされた場合は受け入れるか退去するかになります。

 これに対し、普通借家契約は再契約の必要がなく、家賃を簡単に値上げできないので安心です。<生活の窓口相談員((ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>