衰え進む両親「老老介護」が心配

 両親共に80代です。昨日話したことを忘れることが多くなり、認知機能の衰えが進んでいます。足腰も弱くなっているため、このまま夫婦二人きりで、自宅で生活させていて大丈夫かと心配になっています。(60代、男性)

早めに認定受けサービス利用を

 2020年の国勢調査によると、65歳以上の単身、もしくは夫婦のみの高齢者世帯は全世帯の4分の1を超え、その割合は平成に入った頃から急速に増えています。それに伴い、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」や、主介護者と要介護者が共に認知症の症状がある「認認介護」の世帯が増えています。

 認知症の出現率は年齢が上がるにつれて高くなり、80~84歳では約2割に達します。80代前半のご夫婦の場合、かなりの割合でどちらかが認知症ということになります。また、老老介護や認認介護は介護する側も高齢者で、それぞれに身体機能の低下や持病を抱えています。社会との接点が少なくなる上、満足に栄養管理や体調管理ができなくなるため、夫婦共倒れの危険があります。

 早めに要介護認定を受けて介護保険サービスを利用することをお勧めします。「介護は家族がするもの」「他人の世話になりたくない」「手続きが分からない」などの理由で利用をちゅうちょする方がいますが、70代後半にさしかかって認知機能が低下し始めると、気持ちが後ろ向きになり、身近な人への相談もおっくうになってしまうので、ご家族や周囲の協力で手続きを進めましょう。

 まずは地域包括支援センターに相談し、要介護認定を受け在宅介護サービスの利用や見守りサービスを始めます。在宅介護に限界を感じている場合、要介護度に応じた施設への入所を検討します。介護は夫婦だけの問題でなく、子や周囲の生活にも影響を及ぼすため、早めの準備が肝心です。今回で私の担当は最後になります。ありがとうございました。<生活の窓口相談員(看護師)金石憘栄(きえい)>