高齢の母 口座を管理するには?

 今後、高齢の母が病気になったり、体力的に外出が困難になったりした時に、必要なお金を母の口座から、娘の私が引き出せるようにしておきたいと考えていますが、母からキャッシュカードを預かっておけばよいでしょうか。(60代、女性)

代理人登録や家族信託の検討を

 金融機関は、たとえ家族であっても、本人以外の人が本人名義の口座のキャッシュカードと暗証番号でATMから現金を引き出すことを原則として認めていません。緊急時に備えて、代理人カード(家族カード)を作っておくと安心でしょう。一般的に、本人と生計を一にする親族に発行が可能で、このカードがあれば、お母様のためにあなたがいつでもATMから現金を引き出せます。

 ただし、ATMからの出金は1日あたりの限度額が設けられているため、入院や施設入所のための一時金など、まとまった金額を必要とするケースでは、スムーズに資金の準備ができません。また、定期預金の解約などは、原則ATMではできず、本人が窓口で手続きする必要があります。家族が本人に代わって窓口での手続きも行えるように、代理人カードの発行と併せて、代理人登録も行っておくとより安心です。

 登録できる代理人は、3親等以内の親族としている銀行が多いです。どちらの手続きも、本人が窓口で手続きを行う必要があり、代理人の同席を求める金融機関もあるので、事前に確認しておきましょう。

 ところで、お母様の認知症対策としては、これだけで十分とはいえません。本人が認知症を発症すると、銀行によっては、代理人が行える取引内容が大幅に制限され、口座凍結の懸念もあります。

 認知症対策まで踏まえるなら家族信託の利用を検討しましょう。どのような対策をとるにせよ、本人が元気なうちに行うことが必須です。

 「生活の窓口」では、財産管理の認知症対策の相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>