荒れた隣の空き家、どうすれば?

 隣家が空き家になって久しく、壁が崩れかけて雑草が生い茂っていますが、市に連絡しても対応してくれません。隣家とはもともと疎遠で、相続人の連絡先も知りません。どうすればいいでしょうか。(80代、女性)

改正法施行「管理不全」は税増額

 まずは法務局で隣家の登記を確認し、土地と家屋の所有者を調べます。相続登記がされている場合、所有者に対応をお願いします。相続登記がされていない場合、弁護士や司法書士に調査を依頼して、相続人に管理をお願いすることになります。

 それでも解決しない場合は、行政への働きかけを検討します。自治体は住民同士のトラブルには介入しませんが、改正空き家特措法の管理不全空き家制度が昨年12月から施行されましたので、「管理不全空き家」に該当する可能性があることを自治体に連絡します。

 自治体は指導・勧告を通じて所有者が適切な管理をしない場合は、固定資産税の減額措置を解除、つまり増額することができます。場合により税額は2~3倍になるため、間接的に管理を促すことができます。

 ただ、管理不全空き家の指定には、及び腰の自治体が多いようです。所有者不明土地が多いことが背景にありますが、今年4月から相続登記が義務化されるため、制度の運用は徐々に広がっていくと思われます。

 逆に、相続した実家を放置している方は注意が必要です。空き家を巡るお隣さんとのトラブルは増えていますので、早めの対処が肝心です。

 なお、昨年の民法改正により、法定相続人全員が相続放棄し、占有者がいないケースでは、対応を求める相手がいなくなってしまいます。その場合は、相続財産清算人の選任を申し立てる必要があります。

 相続に関する法制度は近年、めまぐるしく変わっています。「生活の窓口」では、空き家や相続に関する相談も承っております。<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>