いずれ老人ホームへ 選び方は?

いずれ老人ホームに入居したいと思っていますが、今は不自由なく自宅で暮らせているため危機感がありません。何歳から探し始めるとよいですか。選定条件についても教えてください。(70代、女性)

早めに医療環境や予算を考えて

 起床時や就寝時のふらつきやちょっとした段差での転倒など、70代後半になると、心身機能の自信を喪失する体験が増えるようです。その頃が自力でホームを探す最後のチャンスです。この機を逃すと、思わぬ入院や認知機能の急低下により、本人の意思に関わりなく、急いで入居せざるを得なくなります。

 ホーム選びで、まず考慮すべきは医療環境です。持病がある場合は、施設内で医療サービスを受けられるか確認してください。継続的にリハビリが必要であれば、機能訓練指導員が常駐しているとよいですね。

 次に予算です。月額利用料に年金収入を充てて不足があれば、預貯金残高から取り崩します。残りの人生を10、15、20年とそれぞれ想定して試算します。要介護度が上がることによる介護保険サービスの自己負担分の増加は、月5万円程度のゆとりをみておけば安心です。試算の結果、お金が枯渇するようであれば、施設のグレードを落としましょう。

 各ケースの試算で余った金融資産は入居一時金に充てられます。相続人のいない方や残す必要のない方はお金をご自身の生活の質を保つためにお使いください。自宅を売却するのか、相続させるのかについてもこの時に検討します。

 最後に入居後の生活についてです。外出したい場合、駅までの距離は譲れませんね。家族や友人の訪問のしやすさをどう考えるか、どんなレクリエーションをしたいかは好みが分かれます。入居者の平均年齢や介護度、男女比、短期間の退去者数も確認しましょう。「生活の窓口」では、住まいの相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>