確定拠出年金 受け取り方で違う?

企業型確定拠出年金の受け取りについて、税制上の優遇措置があると聞きましたが、選択する受け取り方によってその内容は違うのでしょうか。また、他に注意すべきポイントはありますか。(50代、男性)

一時金なら退職所得控除が適用

 確定拠出年金の受け取り方には、一時金、年金、併用の3種があり、それぞれ課税の仕組みが異なるほか、社会保険料の負担など日常生活にも影響があります。

 一時金で受け取る場合は「退職所得」とみなされ、退職所得控除が適用されます。給付額から勤務年数に応じた控除額を差し引いた額の2分の1が課税所得となり、他の所得とは分けて課税される分離課税です。

 確定拠出年金では、掛け金を払い込んだ年数が勤務年数となり、20年の場合の控除額は800万円、30年の場合は1500万円です。ただし、ほかに会社から退職金が支給されていても控除額は変わらないので税金が高くなるおそれがあります。一方、一時金の場合、その後の社会保険料の計算には含まれないというメリットがあります。

 これに対し、年金で受け取る場合は公的年金等控除が受けられますが、ほかの所得と合算して課税される総合課税のため、所得税と社会保険料が増える場合があります。控除額を考慮すると、公的年金等と合わせて65歳未満は年間60万円まで、65歳以上は年間110万円までが非課税です。また医療費等の自己負担割合にも目配りが必要です。

 一時金での受け取りの方が年金に比べて税制面などでは有利との考え方が一般的です。どうしても毎年計画的に受給したいという方以外は一時金で受け取りましょう。多額の一時金の管理が不安という人は1月から開始した新NISA口座を活用して、受け取った一時金を運用継続するのもお勧めです。老後の資金計画についてのご相談も承っています。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>