相続不動産 売却し均等に分けたい

 叔父の死後、おいめい9人で相続しましたが、それぞれ自宅があり、叔父の残した不動産を活用したい者はいません。私が売却して代金を均等に分けたいのですが、留意すべきことはありますか。(70代、男性)

「換価分割」協議書は専門家依頼も

 おいめい9人が全国各地に散らばって暮らしているため、意向確認に手間がかかるうえ共同で不動産を売却するのは面倒です。あなたは不動産を単独で相続し、所有者として手続きを進めることにより、スムーズに売却したいとお考えでしょう。遺産分割には代償分割と換価分割の二つがありますが、注意を要します。

 代償分割を選択した場合は、一般的に登記名義人をあなたに変更する代わりに、代償金をあなたがほかの8人に支払うことによって遺産分割を成立させます。ただし、売却額は実際に売ってみないと分からない状況下において相続人間の話し合いにより代償金の額をあらかじめ設定することに難儀します。あなたの場合、叔父の不動産を活用する予定があればご自分の名義に相続登記することに意味がありますが、そうでなければデメリットばかりです。

 換価分割を選択した場合、便宜上あなたの単独名義で相続登記して売却し、売却代金を分けます。共同相続人全員があなたに相続登記することを合意した上で、売却代金を遺産協議書の記載内容通り分けることになります。その際、贈与とみなされて贈与税が課されることがないよう慎重に進めるべきです。

 遺産分割協議書の作成を司法書士など専門家に依頼すると安心です。

 換価分割の場合、各自に分配された売却益に所得税と住民税が課されます。なお、売却益は譲渡所得となり、会社員や公務員等の標準報酬月額に影響しないものの、年間所得に基づいて計算する国民健康保険料等は上がるので注意が必要です。<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>