高齢者とは、いったい何歳以上の人を指すのだろうか。日本には統一の定義が存在せず、年金の受給年齢以上を高齢者と考えるなど、人によって解釈はさまざまだ。

 高齢者年齢を巡る動きとしては、日本老年学会と日本老年医学会が2013年から約3年間にわたり実施したワーキンググループによる定義の検討がある。世界保健機関(WHO)が65歳以上を高齢者と定義していたことから、日本でも同様の見方があった。しかし、平均、健康の両寿命が延び、65歳以上が活発に社会参加することが可能になったことなどから、65歳以上を高齢者にすることがそぐわないとして、見直しを行った。

 ワーキンググループは、疾患の発生、受療や身体的、精神心理的、社会的の老化などの経時的データを基に幅広く協議し、17年3月に報告書を発表。各種意識調査も踏まえ、心身の老化現象の出現などを根拠に高齢者の定義を「75歳以上」と提言した。

 政府も18年2月に閣議決定した高齢社会対策大綱で、「65歳以上を一律に高齢者と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや、現実的なものではなくなりつつある」とした。

 自治体にも波及し、長野市と長野県松本市は共同で18年9月に「75歳以上を高齢者と呼びましょう」との提言を発表。「市民の皆さんがいつまでも元気で過ごすことができるよう、前向きな行動への変化を促す」のが目的という。

 一方、いち早く14年4月に「60歳代を高齢者と言わない都市」を宣言していた神奈川県大和市は、18年4月から10歳年齢を引き上げて「70歳代を高齢者と言わない都市」として再宣言した。「人生100年時代を迎える超高齢社会では、一般に65歳以上を高齢者とする固定観念を変えていくことが必要。個々の意欲や能力に応じて、いつまでも生き生きと活躍していただきたい」との考えからだ。

 健康寿命の延伸で高齢者のさらなる社会参加が見込まれる。今後も高齢者とする年齢の引き上げが進むことが予想される。【関根浩一】