ドル建て保険は、円建ての保険と比較して保険料が安く、貯蓄性も高い点が最大のメリットです。また、貯蓄性の高い保険を契約していれば、ドルで資産を保有している状態となり、資産分散の効果もあります。万が一、日本円の価値が下がった時でも資産全体の目減りを防ぐことができます。

 一方、ドル建て保険は、多くの商品がドルベースで元本保証されているものの、円に換算した時の元本保証がない点がデメリットです。また、保険料支払いの際は円からドルへ、保険金などの受け取りの際はドルから円へ、換金するための為替手数料が発生します。そして、毎月の保険料が一定でないため、住宅ローンや教育費の負担が大きい世帯などで、家計収支がギリギリという状況では、為替相場によって家計管理に与える影響が小さくない点も注意が必要です。

 ドル建て保険が向いているのは、元本割れや保険料負担の変動に動じない資金力があり、かつ、リスクをとって資産を増やしたいという人です。資産に余裕がある人にとっては、インフレリスク対策やドルへの資産分散という面でもお勧めできます。また、将来、ドルを使用する機会があるという方にもよいでしょう。逆に、為替リスクについてよく理解ができない人やとにかく元本割れを避けたい人、そして、長期間の加入が難しい人にはドル建て保険はお勧めできません。

 保険も立派な運用商品のひとつです。勧められたからといってよく理解しないままの契約はとても危険です。特に、最近、銀行の窓口でドル建て保険を勧められるケースが多いようですが、勧めている方も保険営業が本業ではない点を踏まえると、さらに注意が必要です。

 <生活の窓口相談員CFP 平田純子>