〝空腹は最高の調味料〟は哲学者ソクラテスの言葉と言われています。

 確かに空腹の時は何を食べても幸せに感じますよね。同じように同一の食べ物でも気の置けない友人や、ピクニックなどで食べるとよりおいしくなるのはなぜでしょうか。科学的には脳に送られる信号がそのように錯覚するからなのでしょう。またその時の記憶が鮮明に残っているのも脳の構造と関係があるのでしょう。

 なんでこんな話をするかというと、先日外国商品を多く取り扱っている雑貨店で、昔食べた「チーズマカロニ」を見つけたからです。今から40年以上前の話ですが、子どものころ夏山にキャンプに行ったときに雨にたたられました。夏とはいえ1,000メートル近い高山は気温も低く、かつ疲労もたまっています。もう体は限界に近づいています。ようやくたどり着いたキャンプ地で、そのチーズマカロニをいただいたのですが、これがこの世のものと思えないぐらいおいしかったのです。体は温まるし、心も温まる、至福を感じました。

 そのチーズマカロニをお店で見つけた時、当時の思い出が次々によみがえって懐かしくなりました。覚えているはずがないのに、その時の道程、寒さや匂いまでもがよみがえってきました。

 もちろんその商品を購入して帰り、早速家でマカロニをゆで、チーズ味のシーズニングを掛けて食べたわけですが……。いや、おいしいのですよ、味は。なぜならロングセラーの同一商品ですから……。

 今回は40年ぶりに食べた満足感が後味として残りました。次はどんな懐かしい食べ物に出合えるか楽しみです。【し】