90代の母親と築40年近くの一戸建てに同居しています。母親は今の自宅をついの住みかにしたいと言いますが、私は体の衰えを考えて、自宅を売却し賃貸マンションに移ることを考えています。(女性、70代)

丁寧に理由を説明して

住居や相続については、家族でよく話し合うことが大切です。とはいえ、家族だからこそお互いの気持ちを思って切り出せないことが多いものです。今回のケースでは、まず思い切って自分の気持ちをお母様に伝えることが第一歩となります。

なぜマンションに引っ越したいのか、今の自宅に住み続けることの問題点などを丁寧に説明されるとよいでしょう。庭木の手入れが大変、階段の上り下りがつらくなってきた、外壁の修繕などで費用がかさむ――など、理由が納得できるものであれば、お母様の気持ちも傾くでしょう。ご自宅の査定を依頼し、今後の資金計画を立てることも重要です。一緒に実際の物件を見にいくことで、不安が解消される場合もあります。自宅近所の物件が見つかれば、環境が変わりませんので安心だと思います。

一つ注意する点があります。この先もし、お母様が認知症になった場合です。母親名義の自宅で意思判断が難しいとなれば、不動産の売却ができなくなる恐れが出てきます。介護施設の入居費用に充てたいと思ったのに売却できなかった、というケースはよく耳にします。認知症への備えも含めて、この機会に話されることをお勧めします。(生活の窓口)