シニアの毎日を、愉しく豊かに。

今日の一句

2023年5月

1日(月)

菜種梅雨通話の先の息づかひ

季與子

2日(火)

胸元を少し開きて春を行く

ゆっここ

3日(水)

春暑し押せばまた出る桐簞笥

伊豆六郎

4日(木)

過去の罪消せぬと知るも御身拭

5日(金)

押し花に芯の厚みや春深し

里すみか

6日(土)

沖海女の脳裏に海図それぞれに

伊達紫檀

7日(日)

まといつく蝶よ母かと手を伸ばす

こころん

8日(月)

子供の日子供だった日子の居た日

Keiko

9日(火)

初薔薇を手折りて一つ歳重ね

ゆっここ

10日(水)

立ち話終えてゆふぐれ花大根

ふゆばれにかける

11日(木)

春灯や悲しむ家も祝ぐ家も

白地

12日(金)

車椅子押すこつ掴み楠若葉

伊豆六郎

13日(土)

日曜の気ままな空を金盞花

まめばと

14日(日)

公園は年寄りばかり子供の日

マチ

15日(月)

子供の日子供だった日子の居た日

Keiko

16日(火)

初薔薇を手折りて一つ歳重ね

ゆっここ

17日(水)

立ち話終えてゆふぐれ花大根

ふゆばれにかける

18日(木)

春灯や悲しむ家も祝ぐ家も

白地

19日(金)

車椅子押すこつ掴み楠若葉

伊豆六郎

20日(土)

日曜の気ままな空を金盞花

まめばと

21日(日)

公園は年寄りばかり子供の日

マチ

22日(月)

新人は東北なまり若葉風

白よだか

23日(火)

独り家に落語聴き入る夏始め

ゆっここ

24日(水)

しみのゆび歳時記を繰る余花の雨

福桔梗

25日(木)

長縄の八の字を跳ぶいざ首夏へ

伊達紫檀

26日(金)

夏来るけふのパスタはジェノベーゼ

27日(土)

雲映す代田を刻む旅心

まめばと

28日(日)

十薬の匂ひを背負ひ猫戻る

マチ

29日(月)

宮島の海に布引く夕焼けかな

福桔梗

30日(火)

花は葉に理学部棟にキッチンカー

冬すみれ

31日(水)

母の日や匂い懐かし割烹着

ゆっここ

2023年6月

1日(木)

折れた振りしてゐるをんな鉄線花

冬熊猫

2日(金)

そら豆を剝きつ物価の話など

桜月

3日(土)

風音に寺門を見上ぐ繁茂かな

伊達紫檀

4日(日)

顔あげて鳴く葭切の朝かな

まめばと

5日(月)

愚痴ひとつ聴いて欲しいのアマリリス

6日(火)

返信の来て紫陽花の青深き

ゆっここ

7日(水)

輪になつて踊るマティスの額紫陽花

伊豆六郎

8日(木)

若葉風おもちゃの医者の腕まくり

こころん

9日(金)

青嵐やサイクリストの大腿部

紅珊瑚

10日(土)

新緑に抱かるる如し赤ポスト

マチ

11日(日)

教室は水槽のなか朔太郎忌

冬すみれ

12日(月)

寡黙なる父と座るや夕端居

ゆっここ

13日(火)

口笛の哀しき呼吸夕端居

京はこべ

14日(水)

薫風や駅に老爺のジャズピアノ

伊豆六郎

15日(木)

女子会は幸せなふりアマリリス

冬すみれ

16日(金)

夏落葉山羊飼つてゐるレストラン

まめばと

17日(土)

仏の間風分合ひて端居かな

白地

18日(日)

瀬戸内の陽光みちて蜜柑花

季與子

19日(月)

夏蜜柑もぐ人も居ぬ過疎の村

ゆっここ

20日(火)

特養にヒジャブの微笑仏桑花

伊豆六郎

21日(水)

紫陽花や百の顔あり百の名も

季與子

22日(木)

作りつつ変はる献立梅雨夕焼

里すみか

23日(金)

ほろ苦し母の小言と夏蜜柑

冬すみれ

24日(土)

寒がりの夫に重ぬる夏布団

ゆっここ

25日(日)

老鶯や川に沿ふほかなき家路

二歩

26日(月)

駅傘を夜に戻す子梅雨の月

伊豆六郎

27日(火)

寒がりの夫に重ぬる夏布団

ゆっここ

28日(水)

遠雷や微睡む猫の髭ぴくり

伊達紫檀

29日(木)

風涼しドヴォルザークの日が沈む

冬熊猫

30日(金)

愚痴言へば胸につかえし心太

2023年7月

1日(土)

父にだけ懐く捨て猫星涼し

こころん

2日(日)

燻らせてジャズにコーヒー夜半の夏

浦和太郎

3日(月)

庭のもの乗せて一鉢冷奴

ゆっここ

4日(火)

老犬を膝に夕暮れ夏の海

伊達紫檀

5日(水)

白南風に咽ぶ平和の礎かな

伊豆六郎

6日(木)

町ぐるみ囃子のけいこ夏夕べ

福桔梗

7日(金)

薬膳と看板のあり夏料理

白地

8日(土)

願掛けの古道は涼し熊野宮

静寂

9日(日)

生ぬるき風通り過ぐ夾竹桃

マチ

10日(月)

傘持ちて母の来そうな驟雨かな

ゆっここ

11日(火)

その上を歩けそうなる青田かな

マチ

12日(水)

半夏雨手押し車の母の背に

暖駿耀景

13日(木)

何気ない一言ごめん半夏生

福桔梗

14日(金)

生真面目な伯父の育てし茄子光る

Keiko

15日(土)

湯疲れて渓流眺む籐寝椅子

木久麻呂

16日(日)

裏木戸の紫陽花よけて回覧板

冬すみれ

17日(月)

蹴飛ばして引き寄せ抱いて夏布団

伊豆六郎

18日(火)

蝉時雨降りて気温の二度上がり

ゆっここ

19日(水)

点滴は命のリズム半夏生

味噌田楽

20日(木)

向日葵を供へしづかな日を迎ふ

里すみか

21日(金)

足先をそっと川面へ半夏生

伊達紫檀

22日(土)

遠雷やちいさな嘘をついた夜

冬すみれ

23日(日)

だしぬけに鬚の顔の子冷奴

紅珊瑚

24日(月)

田草取り背なへ朝日の光差す

ゆっここ

25日(火)

大雨の明けて初蝉鳴きにけり

福井桔梗

26日(水)

半日の留守の鍵穴灼けて居し

白地

27日(木)

両腕を胸に歩荷の寡黙かな

伊豆六郎

28日(金)

雷鳴に地響きしてや仁王門

浦和太郎

29日(土)

何も無き故郷は今夏の忙

静寂

30日(日)

肩に降る匂ひ重かり栗の花

桜月

31日(月)

水打ちて風生まるるや奈良格子

桜月

2023年8月

1日(火)

向日葵の畑の中よりもういいよ

ゆっここ

2日(水)

向日葵やノッポと言われていた昔

白地

3日(木)

踏切の棒のしなりや蝉時雨

里すみか

4日(金)

海育ちクロール誰にも教はらず

季與子

5日(土)

包丁を噛んで離さぬ大南瓜

ひめさゆり

6日(日)

寝室は泣きにゆくとこ夏休み

寧楽

7日(月)

郷愁の歌詞聴こえ来る土用波

ゆっここ

8日(火)

夕端居話し相手の猫が去る

里すみか

9日(水)

夏蝶の水の匂ひを好むらし

紅珊瑚

10日(木)

頷かぬ父に似し子や扇風機

京はこべ

11日(金)

ががんぼの足の脆さの不思議かな

Keiko

12日(土)

カルピスの氷溶けゆき遠花火 こころん

こころん

13日(日)

百合匂ふ夫の遺影の十二年

14日(月)

三十分早く着く癖アイスティー

Keiko

15日(火)

おろおろと生きる修行夏の果

16日(水)

眼差しの優し母のて天瓜粉

ゆっここ

17日(木)

アボガドも夫もころがる昼寝かな

まめばと

18日(金)

沢蟹の手を上げ山路横断中

白地

19日(土)

手を上げて兄が来そうな青田路

マチ

20日(日)

向日葵の知らない明日を生きてゆく

白よだか

21日(月)

一瞬のあの日のいのち酷暑かな

ゆっここ

22日(火)

秋どなり展覧会の絵を選ぶ

Keiko

23日(水)

茹であげし銀のいりこや瀬戸夕焼

伊豆六郎

24日(木)

人も木も身動きできぬ酷暑かな

季與子

25日(金)

御供の水たっぷりと原爆忌

白地

26日(土)

ブラームスを奏でる猫背夜の秋

京はこべ

27日(日)

黎明の空を揺らして蝉時雨

味噌田楽

28日(月)

露草や自転車で割る水たまり

里すみか

29日(火)

伝令に走る球児の夏終る

伊豆六郎

30日(水)

けんけんで遊ぶ幼子敗戦日

ゆっここ

31日(木)

富士山ではじまる校歌  天高し

マチ

2023年9月

1日(金)

防災の放送に乗り 赤蜻蛉

福井桔梗

2日(土)

踊の輪幼なじみの誘う声

伊達紫檀

3日(日)

曇りなき子等の瞳や 終戦忌

Keiko

4日(月)

夕立に叩かれ土の香り起つ

Keiko

5日(火)

桃ふたつ歩みのゆるむ 家路かな

まめばと

6日(水)

一口はまず薬味なし 新豆腐

伊達紫檀

7日(木)

秋の雨ポストに落とす 一行詩

こころん

8日(金)

秋時雨あしおとのこる 石畳

ゆっここ

9日(土)

夕暮れの独りに余る 処暑の風

10日(日)

にがり打つ四丁だけの 新豆腐

木久麻呂

11日(月)

初産のつわり見舞いの秋果かな

伊達紫檀

12日(火)

逆上がりあの満月を蹴るように

白よだか

13日(水)

高原の風に和らぐ野菊かな

冬熊猫

14日(木)

写生する妻の筆待つ秋果かな

浦和太郎

15日(金)

父母待ちて一人遊びや赤のまま

紅珊瑚

16日(土)

今はもう無住の旧家カンナの緋

白地

17日(日)

荻の声澄みて菩薩の慈眼かな

こころん

18日(月)

撫子や風に言葉を置くやうに

マチ

19日(火)

牧舎より風渡りきて蕎麦の花

桜月

20日(水)

鄙宿やつばらつばらに虫の夜

伊豆六郎

21日(木)

秋蝶の低きを飛びてすぐとまり

味噌田楽

22日(金)

故郷の墓しずまりて 曼珠沙華

ゆっここ

23日(土)

草の花さして心を 野につなぐ

24日(日)

鰯雲地図の折り目が ちぎれさう

里すみか

25日(月)

新涼や漆廊下の 艶めきぬ

伊豆六郎

26日(火)

秋空や定期飛行の 音高し

季與子

27日(水)

古ぼけし虫籠ひとつ 小屋の隅

ゆっここ

28日(木)

窓々にそれぞれの灯や 星月夜

味噌田楽

29日(金)

虫籠を遊び疲れて 忘れ去り

浦和太郎

30日(土)

鳴く虫も鳴かない虫も 虫籠に

木久麻呂

2023年10月

1日(日)

売られゆく虫籠の虫なきながら

マチ

2日(月)

吾子の名残る鉛筆秋の夜

ゆっここ

3日(火)

老いの身に残る炎や曼珠沙華

季與子