保有資産の目減りに不安があります。このまま暮らすと貯金が底を突きそうです。国も資産運用を促していますが、投資信託などを購入したほうがよいのでしょうか。(女性、60代)

国が資産運用を促しているからといって、投資に不慣れな人が老後の必要資金を投じて、過度に成果を追求することは危険です。とはいえ、保有資産を取り崩すだけの生活を続けると、生命寿命より先に資産寿命が尽きてしまいます。

資産状況や家計によって、最適な運用方針や目標とする収益率は異なります。まず、ご自身の平均余命までの収入総額を含めた資産(不動産以外)を把握しましょう。家計において赤字となる金額を平均余命まで取り崩しても資産が枯渇しないような運用目標を設定すればよいのです。

仮に、女性が65歳とすると、厚生労働省の簡易生命表(2017年)に基づく平均余命はおよそ25年です。このケースで運用に回せる資産合計が1300万円あるとします。毎月の家計において、赤字となる金額5万円を25年間取り崩しても、年1.1%の利回りで運用を続けると、平均余命までは資産が底を突くことはありません。運用をしない場合は、およそ21年間で資産は枯渇します。

投資信託を活用する場合は通貨や期間、投資対象などを分散して商品を選び、ご自身に合った収益率の目標を設定して資産寿命を延ばしましょう。(生活の窓口)