妻が亡き父親が住んでいた家を相続して3年。売却を考えていますが、交通の便が悪いところにあり、なかなか売れません。ひとまずやっておくべきことがあれば教えてください。(70代、男性)

5年ごとの総務省「住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家戸数は849万戸で、総住宅戸数の7戸に1戸が空き家となっています。今後も人口減少が続く中で中古住宅需要が「発生」に追いつかず、空き家が増え続けることが予想されます。条件が良い物件以外は売れ残りとなるばかりか、市場に出てこないことも考えられます。

駅に近いなど買い手が見つかりやすい物件を除き、空き家は更地にするより家屋が残っているほうが買い手が見つかりやすく、固定資産税も安くなります。よほど傷んでいない限り、とりあえずなすべきは適切な状態を維持することでしょう。

雨漏りが進行すると建物の強度が下がり、修理費用が高額となります。壁や床、柱などに発生したカビは建材まで入り込んで建物全体の耐久性に影響を与えるため、建物の換気が必要です。定期的に水道管に水を通すことで下水から上ってくる悪臭を防ぎ、水道管の破損を防ぎます。

ほかにも、空き家の庭から木の枝や雑草が伸びて隣家の庭に進入し、落ち葉や虫の発生などで苦情が寄せられるといったことはよく起きるトラブルです。

空き家にまつわる問題を未然に防ぐため、管理サービスを提供する事業者が増えています。雨漏りやカビ、庭木の様子やポストの郵便物の状況を確認し、画像撮影して報告するとともに、換気や通水、必要に応じて雑草処理をします。空き家はなるべく残したまま、適切に管理することが早めに買い手を見つける最善の方法です。空き家に関するご相談は生活の窓口で承っております。

【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】