私は会社員です。離婚していますが息子との関係は良好です。現在、夫と死別した女性と交際しており、前夫との間に生まれた娘さんの学費など援助したいのです。事実婚か法律婚、どちらか迷います。(60代、男性)

女性の連れ子に学費を援助してあげたいのですね。「事実婚」「法律婚」のいずれを選んだとしても、あなたは連れ子である娘さんと戸籍上のつながりがないため、原則、扶養義務を負いません。扶養義務がない間柄において援助する学費は、贈与税の対象です。年間110万円を超えると、受贈する連れ子に贈与税が課されます。ただし、養子縁組によりあなたが養親になれば扶養義務を負うため、必要に応じて負担する学費などに贈与税は課されません。

事実婚と法律婚のどちらにするかは、相続に関する民法上の相違点を知った上で慎重に考えましょう。事実婚を選んだ場合、法定相続人は息子のみであるため全財産を息子が相続します。法律婚を選んだ場合、法定相続人は息子と女性です。養子縁組すると、連れ子にも相続権が発生するため、息子の法定相続分は連れ子と同じで4分の1になります。

事実婚で女性に何らかの財産を残したいと思う場合は、遺言書を作成して遺贈する方法があります。息子の遺留分として、相続財産の半分は侵害しないように考慮しましょう。他にも民事信託を活用して、あなたの死後も妻が確実に自宅に住める方法があります。委託者をあなた、受託者を息子、受益者を生前はあなた、死後は妻にします。その妻が亡くなると信託契約は終了して、息子が自宅を承継します。なお、社会保険に関しては、事実婚の妻や連れ子は一定条件のもと健康保険などの扶養に入れます。あなたの死後、事実婚の実態を住民票などで証明すると遺族年金も受給できます。(生活の窓口)