夫亡き後、息子家族と同居しています。築古な家屋のため息子がローンを組んで建て替えることになりました。孫の中学受験を控えており、夫からの相続財産で援助しようと考えています。(80代、女性)

たとえ親子の間柄でも金額によっては息子さんに贈与税が課されます。子供のためを思っての資金提供なのに税金がかかってはかえって負担になります。贈与税には大きく二つの課税方式があり、それぞれ非課税枠があります。

一つ目は毎年の贈与額に課税する制度で暦年課税と呼ばれます。あなたから息子さんへ提供する資金額が年間110万円以下であれば非課税かつ申告も不要ですが、これを超えると110万円を差し引いた金額に累進的に贈与税がかかります。贈与税のみで相続税はかかりません。

二つ目は相続時精算課税制度で、息子さんへの提供資金額から2500万円を引いた額に20%を乗じた額が贈与税となります。暦年課税に比べ贈与税の非課税枠は大きく、税率も一律ですが、後の相続財産に加算されて相続税の対象となってくるので注意が必要です。相続時精算課税を選択した以降は暦年課税の利用はできません。

一方、資金用途が受贈者居住用の住宅の新築・取得・増改築で、一定の要件を満たす場合には、最大1000万円まで非課税で贈与が受けられる制度があります。2022年度税制改正において23年末まで延長されることになりました。この制度は上の二つの制度いずれかとの併用が可能で、贈与税の非課税枠も増えますが、利用に際しては税理士からアドバイスを受けるようにしましょう。なお、息子さんが住宅ローンを組む際の頭金は、お孫さんの教育費がかかる時期ですので慎重に決定しましょう。生活の窓口では、相続についてのご相談を承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>