夫婦2人暮らしで子供はいません。体力の衰えを感じ、万が一の時に備えて妻のために遺言書を書こうとしたところ、自宅の権利証が見当たらないことに気づきました。どうすればいいでしょうか。(70代、男性)

権利証とは、売買や相続など、所有権を取得する登記などが完了した際に、法務局から発行されていた「登記済証」のこと。2005年3月に施行された改正不動産登記法により、登記済証に代わり、登記時に数字やアルファベットの組み合わせからなる12桁の符号「登記識別情報」が通知され、オンラインでの手続きもできるようになりました。

登記済証と登記識別情報は権利の所在を示す重要な書類(情報)であるため、紛失した場合に再発行はできません。改正法の施行後に一度も所有権移転登記など登記手続きをしていない場合は手続き時に登記済証を提出する必要があるため大事に保管したほうがいいのですが、紛失したからといって権利が失効するわけではありません。なお、後で示すように相続手続きに関しては必ずしも原本を必要としません。

売買や贈与などの不動産登記は原則として当事者の双方が共同で申請しなければならず、登記済証により権利の所在を確認するという重要な役割があります。しかし、相続登記の場合、当事者の一方である被相続人が死亡し、相続人の単独申請となります。その際、相続関係にあることが戸籍謄本などで確認できれば問題ありません。

次に遺言書について。法定相続人が奥様お一人の場合は必ずしも遺言書の作成は必要ありませんが、あなたに親や兄弟姉妹がいる場合は遺言書で遺産の行き先を明示したほうがいいでしょう。また遺言執行者を指定しておけば、手続きを簡素化できます。生活の窓口では、相続に関するご相談を承っております。

【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】