相続税対策にタワーマンションの購入を検討していますが、友人からやめたほうが良いと言われてしまい、二の足を踏んでいます。節税対策としてどこまで認められるのか基準を教えてください。(80代、男性)

高齢者があえてタワーマンションを購入して、実勢価格と路線価による評価額とのギャップを資産シフトに生かす節税手法に対して、4月19日の最高裁判決は多額の相続税を課した国税庁の処分を認める厳しい判断を示しました。判断に至る重要論点は、あからさまな節税目的があるかないか、でした。相談者は80代ですので、友人のアドバイスは正しいと考えます。

相続財産の価額は不特定多数の間の自由取引において通常成立すると認められるものであり、不動産の価額は国税局長が評定した路線価に基づいて計算されることが多いのですが、実勢価格と大きくかけ離れていて「著しく不適当」な場合は国税庁長官の指示で適正な評価基準を適用できます。今回の判決では、この例外適用のケースに当たるとして認められました。

その理由をまとめると、節税限定の目的で購入したこと、購入者が高齢で遠方の物件であるなど住む意思がなかったこと、路線価による相続税評価額が実勢価格とかけ離れていたこと、申告した相続税が0円であったことなどです。判決を受け、専門家や事業者の間では、例外適用のケースに当たる基準が明示されていないといった声が上がっています。

昨今、タワーマンションが地方に続々と建設されており、タワマンバブルと言われます。立地面などで潜在的な人気がある一方、こうした相続税対策の需要も人気を支えているようです。今回の判決がタワマン人気にどう影響するのか注目です。生活の窓口では、相続に関するご相談も受け付けています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>