任意後見制度というものがあることを知り、社会福祉協議会の行政書士無料相談で詳しく説明を聞きましたが、初期費用や毎月の費用がいまいち分かりません。気をつけるべきことを教えてください。(70代、男性)

任意後見人は自身で財産管理や契約行為が難しくなったときに、本人に代わってする人を言います。自分で選べる点で、家庭裁判所が指名する法定成年後見人と異なります。また、財産管理や生活のための契約行為という点で、いざというときの身柄の引き取りや債務の連帯保証を行う身元保証人とも異なります。ご相談でよく違いが分からないというご質問をいただきます。

任意後見人を依頼する理由には、認知機能の衰えで財産管理が難しいというケースが多いですが、ほかにもご病気などで意思表示ができないケースがあります。月々の家賃や光熱費の支払い、入院・入居の契約や支払いのほか、財産の処分などを本人に代わって行います。任意後見人は法律関係の専門家や介護専門職のほか、専門家以外でも担うことができますが、年の離れた若い人にお願いしたほうがいいでしょう。

お元気なうちに契約を結んで認知症を発症するなどしたタイミングで後見監督人を選任して任意後見を開始する運びとなります。契約から発症までの間は事務委任契約を結ぶケースが多いようです。費用は契約時に契約書の作成や公正証書にする費用として十数万円、任意後見開始後の後見監督人への報酬として月数万円程度が生涯発生します。任意後見人を専門家に依頼すればさらに継続的な費用が必要です。

継続的な支出を気にするご相談も多いです。その点、同じ財産管理を目的とした家族信託だと初期費用のみですので比較検討することをお勧めします。生活の窓口では終活に関するご相談を承っております。

<生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建>