親族は疎遠になっている弟しかいません。仲の良い年下の友人には、もし孤独死していたら納骨までお任せして遺産を受け取るように口約束しています。正式に依頼した方が良いでしょうか。(70代、女性)

警察や市町村は、遺体の引き取りの意向を確認するために親族である弟に連絡を入れます。遺体引き取りに関する法的な強制力がないため、疎遠になっている弟が拒むことも想定できます。ただし、引き取り拒否でも相続人であるため遺産は弟が相続します。友人に財産を残したい場合は、公正証書遺言を作成しておくと安心です。

遺体引き取りの意向確認に弟が反応しないなど非協力的であれば、荼毘(だび)に付されることなく市町村に一定期間保管されます。友人が引き取りを切望しても、弟からの委任状を待って市町村の最終判断が下るまでの間、なすすべはありません。

本来は死亡を知った日から7日以内に弟から死亡届が提出されます。届け出人欄に署名できるのは、親族、同居者、家主、地主、家屋・土地管理人等、後見人・保佐人・補助人、任意後見人、任意後見受任者、亡くなった病院の院長、入居していた老人ホームの施設長に限られているため、友人が署名しても死亡届は受理されません。死亡届が受理されない場合は火葬許可証が発行されないため、市町村が遺体を保管します。

そこで、死亡届の署名と火葬・埋蔵の手配に関する権限を友人に付与する正式な契約を結んでおきましょう。任意後見受任者は死亡届の届け出人欄に署名できるため、任意後見契約を結びます。火葬・埋蔵の手配に関する死後事務委任契約を結んでおき、市町村に提示すればスムーズに遺体を引き取れます。死後の手続きに精通していない友人には煩雑を極める作業で負担が重いため、専門家に依頼する方が無難でしょう。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>