友人が緊急入院した病院で意識があいまいな状態です。九州にいるいとこの男性のほかに身寄りがありません。とりあえず入院費を立て替えていますが、医師からは転院をお願いされていて対応に苦慮しています。(70代、女性)
いくつか課題がありますね。まず、意識がしっかりしていないと入院費の支払いや治療方針の決定などに影響が出てきます。病状が変わらない限り、今後の治療費や立て替えた分の支払いのために法定後見人を選任する必要があります。配偶者や4親等以内の親族が管轄する家庭裁判所に申し立てができますので、今回は九州のいとこにお願いすることになります。
ただし、申立人が遠方の場合、家庭裁判所に出向くのは大変ですので司法書士か弁護士を代理人に立てることになります。書類のやり取りで1~2カ月、申し立てから選任までに2~3カ月見ておいたほうがいいので半年間ぐらいかかると思ったほうがいいです。対象者が亡くなった場合には申し立てにかけた時間や費用が意味をなさなくなってしまいますのでご病気の状況を慎重に検討された方がいいでしょう。
いとこの協力が得られない場合、ご友人のお住まいのある地区の市区町村長らが申し立てることになりますが、さらに時間がかかります。
仮に法定後見人を選任したとして、転院の際の身元保証人の問題が生じます。法定後見人は財産管理を担う専門職です。この点、債務の連帯保証と身元引き受けを担う身元保証人は別途契約を結んでお願いする必要がありますが、本人の意識がしっかりして契約ができる状態でないと難しいでしょう。明快な解決策はなく、引き続き、ご友人で転院のサポートをすることになるでしょう。
何事も事前の準備が大切です。生活の窓口では終活全般についてのご相談も承っております。
【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】