西日本にある実家が空き家になって数年たちましたが、古民家で自治体指定の文化財の候補になっているため、何かと手入れが欠かせません。私も息子も使う予定がなく、できれば売却したいです。(70代、女性)

文化財の候補というのは、改正文化財保護法の地域計画で対象となっているという意味でしょうか。2019年に改正文化財保護法が施行され、自治体が保護すべき文化財やその区域を定めて国の認定を受けられるようになりました。自治体が文化財を通じたまちづくりや観光誘致を積極的に推進でき、現状変更時の手続きの簡素化など柔軟な施策を打てるようになりました。

一方、日ごろ住んでいない所有者側から見ると、知らない間に何らかの規制が生じているともいえます。地域計画の対象建造物は指定を受けた団体が保存に取り組んでおり、手入れや修繕に関して連絡を取り合うことになります。さらに取り壊しや建て替えに何らかの規制が生じるケースも考えられます。地域に住んでまちづくりに関心のある住民ならともかく、生活拠点から遠く離れた実家を相続した人にとっては煩わしいかもしれません。売却するにも、このような事情があれば一般的には敬遠されがちです。

今回のご相談では立地もまちなかで店舗としての利用価値もありそうですので、古民家の外観を生かした商業施設として利活用してくれる事業者を探すのも一つの方法です。まずは自治体の担当部署に連絡してみてはいかがでしょうか。古民家の利活用に意欲のある事業者とのネットワークがあるので売却先に関して情報があるかもしれません。教育委員会の文化財保護を担当する部署や自治体の首長が直接管轄する部署がそれに当たります。それでも解決しない場合、生活の窓口でも空き家のお困りごと相談を受け付けています。

【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】