老人ホームに入居するしか選択肢がないと思い込んでいましたが、リフォームをすれば自宅を「ついの住み家」にできると聞いて興味津々です。自宅でなるべく長く暮らすリフォームについて教えてください。(70代、女性)

子どもに面倒を掛けたくないと高齢者施設を探す方は、自宅で暮らし続けたいという切実な願いに蓋(ふた)をしているようです。リフォームで住み続けられるなら、それが一番です。

工事には10万~100万円程度かかるため、なかなか決断できないご夫婦が多いようです。しかし、リフォームが遅れると、骨折などの大きなけがでいや応なく高齢者施設探しを始めることになり、結果的に出費が増えてしまいます。補助金を上手に使えば費用を抑えられるので、早め早めのご検討をおすすめします。

とはいえ、いつごろまでにすればいいのか。一応の目安は70代半ばです。健康寿命は男性で72歳、女性で75歳です。工事の選択とお金の算段には気力が必要ですが、年齢とともに体だけでなく、認知機能の衰えで考える気力が失われていきます。

築古の木造戸建てでは、脱衣所と風呂場の冬場の寒さ対策は必須です。天井はめ込み式の暖房を設置したり、二重窓に改修したりすればヒートショックの予防になります。ベッドを和室に置く場合は、床材をフローリングに変更すると清潔に保てます。バリアフリー工事は必須です。

いす式階段昇降機はレンタルで設置が可能なため、電源増設の工事をしておきます。一方、玄関にスロープを設置したり、玄関を引き戸に替えたりすれば車いすの出入りが楽になります。トイレを寝室に隣接するような間取りに変更しておけば過ごしやすくなります。それぞれの事情に合わせて具体的に考えてみることが肝要です。生活の窓口では、リフォームのご相談も承っております。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>