九州で一人暮らしの80代の父親が高齢者施設への入所を考えています。空き家になる実家を処分するために不動産業者に相談したところ、「更地にしないと売れない」の一点張りです。(50代、男性)

皆さんご存じのように不動産を更地にすると固定資産税が高くなってしまいますので、売り手はなるべく家屋を解体する前に買い手を見つけたいと考えます。買い手のほうも最近では合理的に考えるようになっており、家屋が多少築古でも手直しして住めるならそれでいいと考えるようです。そこで、空き家を買い取ってリフォーム後に再販する事業者を探してみてはいかがでしょうか。インターネットで検索すれば最寄りの事業者が見つかるはず。見つからない場合は生活の窓口でもご案内しております。

ところで、施設入所に際して実家を売却するケースで気を付けるべき点があります。それは特別養護老人ホームなどの公的介護施設の場合、前年の所得に応じて入所や介護に必要な自己負担が増えてしまうということです。地方都市の不動産の場合、一部の優良立地を除けば数百万円で取引されることが多いので、手間の割に得るものが少ないといった事態が起こるそうです。

その際、子世代に不動産をあらかじめ贈与しておくという方法も検討の余地があります。なるべく不動産の共有は避けたほうがいいので、どなたか一人に譲るほうがいいでしょう。例えば、相続時精算課税制度を利用し、お父様の遺産総額が基礎控除内であれば皆さんの負担は軽くなります。お父様の金融資産が少ない場合はトラブルのおそれがあるので子世代で話し合ってください。

終活時の不動産売買は高く売れればよいわけではなく、検討項目が多いです。生活の窓口では終活に関するご相談を承っております。

【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】