転職が決まったため、これまで加入してきた企業型確定拠出年金(企業型DC)をいつまでにどうすればよいか教えてください。可能であれば、脱退して一時金を受け取りたいと考えています。(50代、女性)

転職を機に企業型確定拠出年金を脱退して一時金を受け取りたいと考える方が多いのですが、通算拠出期間5年以内または年金資産残高が25万円以下など脱退要件の全てを満たす必要があり、一時金を受け取るハードルは高いです。なお、年金資産残高が1万5000円以下であれば、退職日翌日の翌月から6カ月以内に手続きして脱退一時金を受け取ることができます。60歳到達前に離転職しても老後資産の形成を継続するために、年金資産を持ち運びできます。転職先に企業型DCがあれば、退職日翌日の翌月から6カ月以内に「個人別管理資産移換依頼書」を提出して移換手続きをします。

一方、転職先にいずれの企業年金もない場合や、あっても加入しない場合、個人型確定拠出年金(イデコ)の取扱金融機関等をご自身で選択してイデコの口座を開設し、資産を移換します。商品や手数料が金融機関等ごとに異なりますので慎重に選びましょう。その時点の年金資産だけで運用するか、継続して掛け金を拠出するかを選べます。

退職日翌日の翌月から6カ月以内での移換手続きを怠ると、年金資産は現金化されて国民年金基金連合会に自動移換されます。預かり状態になるため資産は増えず、移換手数料と月額管理手数料とが引かれて残高は減る一方ですので必ず手続きしましょう。移換を申し出なくても、新たに加入した企業型DCや加入済みのイデコと本人情報が一致すれば、年金資産が自動移換されることがありますが、ご自身で早く確実に手続きを済ませた方が安心ですね。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)長沼満美愛>