定年退職し退職金を受け取ったが、今後もしばらく給与収入があるため当面使う予定がない。多少運用したいが、まとまった資金が手元にある場合もリスク分散のために積み立て投資とした方がよいですか。(60代、男性)

毎月決まった日に決まった金額を投資信託などに投資していく積み立て投資に対して、まとまった資金を投資商品に一度に投資することを一括投資と言います。購入時の価格が将来の損益に大きな影響を及ぼす一括投資に比べ、積み立て投資は毎月コツコツ購入することでリスクを分散でき、また、毎月の投資額として少額から開始できるため、価格変動がつきものの投資商品への投資方法として、特に投資初心者におすすめの方法です。

しかし、まとまった資金がすでに手元にある場合は、一括投資を検討しましょう。なぜなら、まとまった資金を積み立て投資で少額ずつ投資するとなれば、その資金の大半は、当面の間は投資に回らず利益を生まないからです。これを理解せずに積み立て投資がいいと頭から思っている相談者が意外と多いです。

例えば、手元に当面使う予定のない退職金1800万円があるケースで、一括投資と積み立て投資の10年後の投資効果を比較すると、一括投資で年利3%で運用した場合は1800万円は約2280万円(税引き後)になります。一方、毎月15万円を10年間積み立て投資した場合は、約2030万円(税引き後)です。

シミュレーション上は手元資金を最初からフルに働かせる一括投資の方が運用効果が高くなります。一括投資はその銘柄やタイミングの目利きをしてリスクを抑えて運用しつつ、毎月の家計収支の余剰資金でも積み立て投資で運用しつつ資産をふやしていく投資の二刀流もおすすめです。生活の窓口では、資産運用に関するご相談を承っています。

<生活の窓口相談員(ファイナンシャルプランナー)平田純子>