夫に先立たれ、そろそろ事前の相続対策を考え始めました。別居の子が2人います。最近、生前贈与が課税対象になるというニュースを耳にしました。何から手をつけたらいいでしょうか。(70代、女性)

昨年末、来年度の税制改正で政府・与党が検討している贈与税と相続税の見直し案が報道されました。これによると、生前贈与の暦年課税の非課税枠(年110万円)を相続財産に持ち戻して課税対象とする期間を現行の3年から2031年1月へと7年に延ばすことになりそうです。それまでにお子さんを交えて対策を考えておきましょう。

生前贈与には課税時期に応じて大きく分けて二つあります。非課税枠を超えた部分について贈与の度に確定申告して納税する方法(暦年課税)、もう一つは相続時にまとめて計算し、納税する方法(相続時精算課税)です。持ち戻し期間の見直しで影響を受けるのは暦年課税の贈与です。早め早めが肝心ですが、万が一の選択肢として、お子さんが不動産を購入される際、資金を提供して一部の所有権をもっておけば、一般的に相続時には金融資産に比べて評価が低くなります。また非課税枠が設定されている住宅資金贈与制度を使う方法も考えられます。

なお、これまで利用者が少なかった相続時精算課税の贈与についてもいくつか新たな優遇制度が設けられるようですが、政府が通常国会に提出する税制改正法案が成立するまで詳細は分かりません。

生前贈与は相続税の基礎控除額が引き下げられてからは身近な話題になりました。相続時に国からの通知が届いて窓口に相談される方が結構いらっしゃいます。金額が大きくなるなど慎重を要する場合は税理士など専門家に相談することを考えましょう。生活の窓口では相続に関するご相談を承っています。

【生活の窓口相談員(統括マネジャー)山本建】